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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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私には、コーヒー抽出の師はいません。
なので、お店では常に変なオリジナル抽出法をとっています。

しかし、コーヒーカウンターマンとしての師がいます。

数年前、地方のカフェで働き、住み込み寮生活をしていたことがありました。

そこには流しのコーヒーカウンターマンのような方がいました。

歳は60を越えていましたが、

誰よりも早く、朝6~7時にはお店に立ち、
メモを取らずに、複数のオーダーを記憶し、
一度に何杯ものコーヒーを点てることのできる
千手観音のような方でした。

その方は、毎朝、出勤前に寮のキッチンで、
決まって苦めのメキシココーヒーを一杯、飲んでから出かけるのです。

その姿が、実に清々しい。

スッと姿勢よく伸びた背筋。肩に余計な力が一切はいっておらず
眉間にシワひとつ寄せず、穏やかな表情。リズミカルで鮮やかな湯切り。

そして淹れ終わったあと、こっそり流しを覗いてみると
いつも、惚れ惚れするように、なだらかな曲線を描いて
コーヒーの出し殻がすり鉢状になって、カリタの一杯淹れドリッパーの中に納まっているのです。

どんなに私が丁寧に淹れてみても、味、香り、出し殻、どれをとっても、敵いませんでした。

昨年、都内の公園を歩いているとき、偶然にもバッタリその師と再会し、お茶をしました。

私は、結局不器用なまま、自分のお店に立っているので、なかなか師にお店のことを報告できずに
いたのですが、彼は私のことを全てお見通しでした。

「もうそろそろ、キミに会うんじゃないかと思ってたんだヨ。」
「キミは、凝り性だからサ、また儲かんない淹れ方してんじゃないのぉ~(笑)。」とニッコリ。
おっしゃる通り。
しかし、いつものように温かい励ましのお言葉も沢山いただきました。

今は、肩に力をいれ背を丸め、眉間におもいっきりシワを寄せて、
カッコ悪く出来る限りを尽くすことでしか
コーヒーを表現することが出来ませんが、
いつの日か、スッと、清々しくコーヒーを出せるようになりたいものです。

お家で、カリタの一杯出しドリッパーでコーヒーを淹れるたび、初心を思い出します。

お店で
ご好評頂いておりました深煎り「ガヨマウンテン」を終了し
「マンデリンG-1」の深煎りに変わりました。
懐かしの、あの朝飲ませてもらっていたメキシコの深煎りを思い出す土臭さです。
宜しくお願いいたします。


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