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自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰)
Since 2006
くまのひでのぶ氏https://kumachild511.wixsite.com/kumachild個展
「風のささやき はばたきの詩」
昨日からはじまっております。
くまのさんの絵はどこを切り取っても
文字通り、絵になります。
緻密に計算されているようでもあり、こどもの無垢さのようでもある
独特なタッチの画風です。
ヴィヴィットな色使いでも
ショッキングにエッジが効きすぎないのは
構図全体のバランスがとても心地よいからかもしれません。
どことなくプリミティブな線や、削りだされる色や乗せる色が
その調子をとっているのかもしれません。
ふとそのバランスの妙が気になって彼から話しを引き出してみますと
興味深いことがわかりました。
彼は、対象物を描き出そうとして描き出しているのではなく、
下地を作る際に生じるマチエールや偶然性から走る筆の軌跡から
対象物を引き出しているのだそうです。
私などはどちらかというと、
「よし!~を描こう!」と描き出すタイプですが
対して
「~のように見えるなぁ」ということですね。
たとえばそれが大きな弧であれば
その部分が象の背にもなれば、船底にもなる。
どちらがもっとも適しているかは
パネルを回しながら決めるそうです。
我ここにあり!ではなく
あくまで、彼の視点で他から引き出す。調和する。
生みだすというよりも、生まれてくるものを活かすということでしょうか。
だからこそ彼の絵には共通する心地好さが存在するのかもしれません。
しかしそれだけではやはりバランスをとることは出来ません。
今展の中には一点、ほかとは毛色の違う作品が隠れています。
それをお聞きしますと
線をどのように配置すれば、どんな色をどんな大きさで乗せれば
どういう印象になるのかを実験的に試行錯誤した連作の一枚とのこと。
決して偶然性からだけではなく、
そこに技術の向上心や感性を磨くことが伴っているからこその
心地好さ。ということなのでしょう。
搬入も、空間に対する一点一点の色味の反発や間隔の協調を見つつ
描かれたモチーフが被らないように配置しなおしたりと、
バランスや、他者からの見え方を何度も考えながらの設置でした。
そのときも彼の口から相方さんに向けて
「ここんとこのリズム、おかしない?」というような
ワードが何度か聞かれました。
調和した心地よいメロディーが、いまは空間全体に満ちているような気がします。
点と、線と、面と、空気がひとつのささやく詩となった展。
是非その全体を味わいにいらしてくださいませ。
3月16日(金)~27日(火)*水木定休
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