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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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11月某日、沖縄本島那覇。

沖縄、コーヒーの旅を締めくくるお店は

「カフェ沖縄式」さん。

飛行機の時間などがあったので
ギリギリのスケジュールでお店に飛び込みました。

この旅を締めくくるにはうってつけの場所でした。

とにかく既成概念というものがここのコーヒーには
ありません。

泡盛で珈琲焙煎してみたり。

珈琲を酒で漬けまくってみたり。

「ぶくぶくコーヒー」という
見るからに怪しげかつ癒し系のコーヒーの泡で
作ったブクブクが乗ったコーヒー。

結局、沖縄の人にかかれば何でもアリなのです。

常識的に考えて泡盛を焙煎機にぶち込むなんて
有り得ません。

ブクブクの泡も、だから何?と言われればそれまでなんです。

でも、いいんです。誰もやってないんですから。
この豊かな発想自体が宝物なのです。

楽しいと思ったことは、とにかくやってみる。

あれこれ、こだわりに執着しすぎると
折角美味しいものが出来たとしても
カチカチに凝り固まっているものでは、
頂く側も肩が凝ってしまい、味覚が働かないでしょう。

「美味しい」は「楽しく」

作る側も楽しまないと、苦悩ばかりの味では
飲む方も辛いでしょう。


沖縄で学んだことは



「好き」を大事に。

「感性」を信じる。

無い物は「作ればいい」。

「楽しい」を創造する。



自分では珈琲に関して
そこそこ寛容だと思っていましたが
沖縄に来て、まだまだ自分は
固定観念に囚われているところが多いなぁ~と
思いました。


でも、ただただ楽しければイイというのは
自分らしくないので

楽しく、ストイックに追求するのが自分流。


東京に帰り、メニューを一新しました。

そうして産まれたオリジナルコーヒーが
「みけねこ」という名のコーヒー。


石垣島の「人魚の里」さんでいただいたコーヒーです。
器は、人魚の里オリジナル。

他にも

八重山そば

チャーハン

をいただきました。

何故か

おそば、チャーハンは¥400
コーヒー¥500


そして、ナント!!
こちらは、あのカリスマバリスタの横山氏が
TV撮影でおとずれたことのあるお店でした。

おばちゃんにその時の写真を
見せてもらいました。

すごいですネェ、カリスマは常に国内外にアンテナを
張っています。

ご主人は当時、東京の「バール・デル・ソーレ」まで
行って、エスプレッソマシンの購入を
考えたそうですが
お値段が高すぎて、断念したらしいです。

カリスマだから、言えば、太っ腹に1連のマシン位くれたかもしれませんよねぇ。
私は欲しいナッ!


とにかく珈琲農園は大変なのです。
沖縄は台風とかあるし。

最近あんまり採れないし。

それでも
数年前は5tもの収穫があったそうですが
採れたら採れたで
毎日、家族総出で作業だそうです。


やはり、まだ日本ではコストや
労力の面からいっても
安定した収穫と供給は難しいかもしれません。


自分の国で採れた豆を自分の国で消費する。

自給自足の理想は
なかなかどうして高みにあるのです。



でも、沖縄の人はめげません。

夢を糧に生きていますから。


でも、地球温暖化で
その内、日本のどこでも
珈琲豆が採れる時代が来るかもです。

それはそれで、問題ですけどネ。



11月某日 石垣島へ

石垣の宿泊は素泊まり宿です。
ものすごくアリが出ます。
甘いものなど置いておくと大群が壁の隙間からやってきます。

お菓子たちが襲撃を受けました(泣)。

石垣島に着いた日は
地元民オススメ飲み屋「さつき」で

石垣牛

いらぶちゃ

らふてぃ

ジーマーミ豆腐

など、観光客らしいものをいただく。

石垣牛は絶品!

あくる日

石垣の中心街から、バスで星野と言う田舎へひた走り



目的地、珈琲農園を持つ「人魚の里」へ。



この日は雨で、ご主人は畑へ防風林の手入れに行っていて
いませんでした。

おばちゃんにいろいろと珈琲について
お話しを伺いました。

珈琲農園は
山の斜面に自然木を残しつつ
コーヒーノキを植えているそうです。

「都会から来る農業をちょっとカジッタようなのは
すぐ有機栽培だなんだって、あれこれやって
土をユンボで耕しちゃうから、台風で土がながされてしまう。」

と言うことで、
ビーバーでススキを刈るのみにとどめ
昔パイナップル畑だった土を利用して
農園を拡大しているそうです。

「好きじゃなきゃ出来ないよ、
もうかろうと思ったら、とてもじゃないけど
出来ない。おとうさんも珈琲が大好きだから。」

年々台風被害が大きくなり
昨年は風速80m級の台風で
ハウスごと畑を壊滅させられたそうです。

「台風さえ無ければ・・・・」と苦笑いで話してくれました。

ちなみに「人魚の里」というお店の名前は、この土地の
人魚伝説からきているそうです。


大昔この里の人間は、人魚の言うことを聞いたおかげで
高台へ逃れ、大津波をやり過ごすことが出来たという伝説。



おやっ?貝かな?と思ったら
巨大アフリカマイマイでした。

本島北部には踏み潰すくらい沢山の
コイツがはびこっています。

病気を媒介するそうで、怖ろしいですネ。


シーサー

沖縄にはユニークなシーサーが
いっぱい。
守り神の顔はひとつじゃないんですネ。



11月某日、沖縄本島北部のAM8:00

この日は朝、「島ぞうり」さんの珈琲農園に
連れて行っていただきました。

かなり急斜面の細いドロドロ山道を
車で上るとマンゴーやドラゴンフルーツの畑の
上に珈琲農園がありました。

ヒロコーヒーファームさんと違い
遮光ネットや添え木が無い分
密植型の植樹で台風対策を図っているご様子。

実が黄色のものを中心に栽培なさっているようで
植える位置によって生育にバラつきが見られます。
しかし、環境がいいのか木自体はとても元気そうに
枝葉を伸ばしています。

収穫は12~3月、2月が最盛で
一番寒い時期だそうです。

農園は、ほぼ自然の状態で十分育つそうで
大きなクモなど虫たちもいっぱいいました。

収穫カゴを持って収穫を手伝わせていただくことも
出来、感無量。

背丈より高いくらいに密集し、湿り気を帯びたコーヒーノキに
体を擦り付けながら実をもぎ、カゴへいれる作業。

ちょっと実をパクつかせてもらいましたが
赤い実より黄色の実のほうが甘い気がしました。


珈琲農園はご主人が管理し、現在の農園の隣の土地にも
新しい珈琲畑を作っているとのこと。

その夜
「この山の珈琲農園が完成したら、上に小屋を作ってサ
星空を見上げながら若者達と珈琲を飲むのが夢なんだ。」
と嬉しそうに齢60を超えたおじさんは目を細めていました。
赤ら顔のその手には、やっぱり

オリオンビール。


11月某日沖縄本島北部


泊まりは「島ぞうり」さんへ。


こちらの宿は壁面に可愛いイラストが各棟に描いてあり
なんともアーティスティック。

やはりこちらの内装も
ご主人が手作りされていて
素敵な感じに仕上がっています。

沖縄の人って
なんでも手作りしちゃうんですネ。

ご主人は、絵に描いたように沖縄の食卓っぽく
オリオンビールを片手に

「お金がないことはイイことサ。
なんでも自分で考え作るからぬくもりがでるヨ。」

と、楽しそうにお話してくれました。

なんとこちらでは珈琲農園もあり、
旅の事情を話すと特別にコーヒーをご馳走していただきました。

珈琲は奥様が土鍋で焙煎。
もちろん独学。

「あまり今年のは出来が良くないのヨ。」
と言いながら出てきた珈琲は

非常に甘く、浅煎りのブルーマウンテンに似た
柔かい良酸を湛えた、まろやかな味わい。

「こ、これで出来が悪いんですかぁ・・・・」
出来がイイ時はどんだけ美味いんだろう?と
少し脅威を感じてしまう。

おそらく豆が良質なこともさることながら
奥様の独学焙煎の感性が功を奏しているのでしょう。

蓋付きの土鍋で焙煎することで
遠赤外線効果を発揮しているようで、
焙煎手順をお聞きすると
全てが的を得ているものでした。

知識やウンチクも時には大切ですが、
やはり一から作物を育てて、
愛情をもって調理すると
プロも素人も関係なく
感性で美味しいものが出来ちゃうんですネ。

「珈琲も畑も民宿も大変だけど
好きだから出来るのヨ。」
と、微笑みながらおっしゃる奥様の珈琲には、
肩の力が抜けながらも、説得力のある
甘い後味が、ずっと心地よく口の中に残っておりました。

夕食は

おじいちゃんと息子さんが釣ってくれた
地元の魚を揚げたもの

モズク汁

酢の物

パパイヤの煮付け

ウムニー(芋を蒸して砂糖とバターで味付けした甘いお菓子)

泡盛


明日は珈琲農園に連れて行っていただけることになりました。


ヒロさんの発酵槽

もちろん自作ですネ。


ヒロさんのパーチメント除去機

これも自作だそうです。


ヒロさんのパーチメント

収穫後の乾燥中。


ヒロさんのアイスコーヒー

11月といえども暑い沖縄に最適。


ヒロさんのコーヒー

緑の見えるコテージのようなテラスで。



時間をさか戻り

去年の11・6から沖縄紀行を

記します。



旅の大きな目的

それは

珈琲の栽培を日本でやっている方の
お話しを聞く ということ。



ヒロコーヒーファームさんへ。


沖縄本島北部の山奥で


15年も前から農園を続けている
集大成を拝見させていただきました。

一日に数本しかないバスに乗り継いで
くねった山道の頂上あたりで降りると
何も無い道沿いにポッカリ
手書きで「HIRO COFFEE FARM」
とアメリカンな看板が姿を現します。

ココが日本だということを思わず忘れるたたずまい。

60歳を超えているけど
とってもダンディで、見た目ブラジリアンの親切なオーナーさんに
いろいろ質問をしてきました。

こちらでは
コーヒーゼリー、コーヒー、アイスコーヒー
ココアを飲みました。

しかし何より驚いたのはコーヒーの葉のお茶が
飲めたこと。

サスガ珈琲農園!
新鮮な柔かい葉がいっぱいあるからこそ
成せる技。
味はとってもクリアで爽やかなハーブティーのよう。

それに加え
ストロングコーヒーをご馳走になり
コーヒーの木までプレゼントしていただきました。

客席の脇においてあった雑誌を
開くと、青梅で仲良くさせていただいている
銅版作家さんの取材が大きく載っていて
笑ってしまう。
こんな沖縄の山ん中で青梅の人の顔を見るなんて(苦笑)。

農園では使っている皮むき機、発酵槽、カフェ、遠赤焙煎機まで
なんとすべて自作!! 頭が下がります。

珈琲豆の収穫は12~3月。
手づみで行うそうです。

6年ものから結実し収穫に耐えうる実が出来ます。

はじめて珈琲の実を食べさせていただきました。

ほんのり甘く青臭いけど、味わいはさくらんぼのソレにとても近い。
コーヒーチェリーと呼ばれるのも納得です。


山の斜面に作られた農園も見せてもらいました。

雨が降っていたせいもあり農園に入ると
地面からもぁっと、肥えた土の香りが鼻腔をくすぐる。

間隔を開けて植樹された木は、台風に備え添え木され
遮光カーテンが農園を覆っていました。

手厚いですネ。

蚊も多いですネ。


珈琲の木の実は、まだほとんどが青いものでしたが
中には色づいているものもチラホラあるようです。

赤い実もあれば黄色い実もあるので
アマレーロと混種で栽培してるのかな?


最後には

「なんでも気長にやりなさい。」

と、有り難いお言葉をいただきました。

帰りはバスがあまりにも無いため
ご親切にも娘さんに、宿まで車で
送っていただいてしまいました。


どこまでも優しい人たち。



気負いなく、しかし芯をもって 大地に根をはっている。

そんな、木のような人に出会えた一日でした。


ぜんぜん、親しくも無いですし

雲の上の方だから

まともに口を聞いたことすらも

ないのですが


私が、衝撃をうけた焙煎職人

吉祥寺「もか」の標交紀氏が

昨年末、永眠されました。


まったくただのイチ客としてしか
接する機会は無かったのですが

標氏の珈琲豆に出会わなかったら
焙煎の重要性の一端を知ることは
無かったでしょう。

それくらいあの方の焙煎する豆は
私にとって不思議に満ちていました。


ホント師弟でもなんでもないんですけどネ、

全身全霊、珈琲に尽くされた標氏に

この場を借りて

「有難うございました。」

と、言いたかったのです。




筆不精なものでなんと一年もブログを放置
してしまいました(苦笑)。


想いのたけや、書きたいことは
たくさんあるのに

いざ、筆をとると、
喉に物がつかえたみたいに
書けなくなることって

ありませんか?

小生、己にプレッシャーをかけるのが得意なもので・・・・。
ついつい、書けなくなる、が溜まって物事が滞るのです。

この一年たくさんの

よいことも

よくないことも

ありました。

人間、そうそう順風満帆にはいかないもんですネ。



日本で開かれた世界バリスタチャンピオンシップを観にいったり

六ヶ所村の映画上映会を知り合いと
企画して200人を超える人たちに
観に来てもらったり

お店のサッシのドアと窓を
わざわざ地元の古い材に代えてみたり

ひと月お休みをいただいて沖縄と那須にコーヒーの旅に出たり


望ましくない事情でお店が3ヶ月くらい開店休業状態におちいったり


暖かい常連さんたちに支えられて復活を遂げたりと


そのほかにも

志しを共とするお店と知り合えたり

素晴らしい出版物に掲載していただいたり

多くの新たな出逢いにめぐまれました。



どれもが刺激的で、初めてのことだらけで
辛いこともあったけど楽しいことも多い一年でした。

新しく何かを一から始めることは
それだけで大航海なのです。


これからも

予定どおり、とはいかない道のりでしょうけど

だからこそ、やりがいもあるってもんです。

どこで何をしていようとも

珈琲と共にあれ。


写真は今年も咲いた「ホテイソウ」
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