COFFEE & GALLERY SALON " you "
COFFEE ROASTER " in "
自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰)
Since 2006
まるでBGMのアプリだな。うるさくて寝れやしない。
そう私は思った。
どうしてもここで寝たいと頼み込んで勝手に泊まった牛舎の外では
耳をつんざくようなカエルの大合唱と、
じょぼじょぼと沢の水が池に溜まるどことなく便意をもよおす音とが相まって、
環境音楽と狂想曲のごった煮みたいになっている。
枕替わりにしていた焙煎臭染みつくバックパックから身を起こし、
体にかけたコロンビアの古いマウンテンパーカーを羽織ると、
昔、牛舎であった本屋を出た。
5月の俵山は、まだ十分に底冷えするようだった。
トイレにいこう。パブロフの犬みたいな便意だ。
牛舎の本屋は、「ロバの本屋」という。
ロバの本屋の脇にある厠は、汲み取り式である。
しかし、換気扇さえ回っていれば、思いのほか臭くないのは発見だった。
私のぼっとんイメージを払拭してくれるに足るほど、清潔で素敵な空間だ。
このトイレみたいに、空気が出はいりして生きていさえすれば
たいていのことは澱むことなんかないんだ。
見た目がクリーンなビルディングの会議室であっても、
息をしていない体制組織みたいなものは、きっと臭くて澱が溜まっていくんだ。
と、毒づいてみたりする。私も相当澱が溜まっているのかもしれないな。
知らず知らず溜まった日々の澱を落とすために、私はここに来たかったのかもしれない。
用をたして、外に出ると、そこは真の闇だった。
街灯のないこの地区は、星のない夜は、真っ暗になる。
携帯の電波すら飛んでいない闇の中で
生き物の気配だけが蠢いている。
それすら、すがすがしい風にあたるとなんだか自然なこととして心地よくさえ思う。
蛍の季節は、ここら一帯は蛍の観光名所になると、
廃牛舎をセルフリフォームしたロバの本屋のオーナー、いのまたさんが教えてくれた。
街灯のない暗闇を、沸き立つ星雲のように黒き森に舞う蛍は、さぞかし幻想的だろう。
私は山から降りる朝靄が頬をかすめるまで、
本棚に囲まれた元牛舎のロバの本屋で、ぐっすり眠りについた。
去年の5月、私は山口県長門市俵山にある「ロバの本屋」さんに
出張珈琲に出かけた。
尊敬する大好きなカフェオーナー、いのまたさんが作ったブックカフェ
「ロバの本屋」http://www.roba-books.com/に
どうしても行きたかったのだ。その生き方のセンスに会いたかったのだ。
ロバの本屋さんと共通して親交のある
テディベア作家、外間宏政氏
焼き物屋 上泉秀人氏
と私の、青梅三人衆で山口県に行ったのが、つい昨日のような気さえする。
今年も「ロバの本屋」では
外間宏政氏のテディベア展が開催される。
こつこつ、もくもく、たんたんvol.2『テディベア、美味しいものを持って蛍を見に行く』
2014 6月13日(金)~24日(火)
*水、木曜日はお休み
今回出張珈琲はないが、
画像の「ファイヤーフライブレンド」で豆売り参加させていただくことになった。
先々月出張珈琲させていただいた葉山の「昵懇」さんもケーキ販売で参戦する。
福岡の「山下カバン」さんも古道具でご参加するそうだ。
風のとおるブックカフェで、
人のぬくもりの息づくテディベアと古道具とケーキと珈琲。
それにいのまたさんがセレクトした、
ぽっと溜め息の出るような面白いご本を見ながら、
日々の疲れをぽっとり落として、
深呼吸してみては、
いかがでしょう。
蛍の光を珈琲に浮かべて。
*詳細は各HPご参照のこと。
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