COFFEE & GALLERY SALON " you "
COFFEE ROASTER " in "
自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰)
Since 2006
いくらを作った。
久しぶりに。
去年までの過去数年を除いて、
シーズンになると毎年いくらを作っていた。
一子相伝、伝家のというほどではないが、父から教わり
家を出てからは作り続けている。
秋口になるとそわそわして、魚売り場をまだかまだかと覗きながら
生すじこの登場を待ちわびる。
よく付属のタレも付いていたりするのだが、どうにも受けつけない。
こどもの頃、上京したその日に都心の高級寿司店のいくらを吐き出して
父を冷や冷やさせた思い出がある。
私には、ドロッと甘く生臭い塩ッ気が、
いくらの姿をした別人に感じたのだろう。
「コッチのいくらはコウなんだ」
という父の小声が耳に残った。
慣れ親しんだ北の味付けが、一番しっくり身体に馴染む。
今年の出来はまずまずだ。
小ぶりだが、プリッとして醤油の旨みといくら本来の甘味を湛えたルビーが
ハラッと歯切れよく口中で弾けると、鼻腔いっぱいに幸せの海を運ぶ。
いくらは買うより自分で仕込むほうが
安くて美味しく贅沢できるのだ。
食べに食べると、イクラなんでも贅沢をし過ぎたなぁと罰当たりな
ダジャレを言いたくなる。
来年は、お隣り「加藤けんぴ店」さんhttp://www.kato-kenpi.com/の
「炊きたて握りたておにぎりを食べる会」で
皆様にお裾分けするのもいいかもしれないが、素人仕込みの生もの。
何かあっても責任は取れないので誓約書を書いていただかないと・・・。
大阪人のたこ焼き。
広島人のお好み焼き。
秋田人のきりたんぽ。
「魔女は血で飛ぶ」なんて台詞のアニメがあったが、
それぞれ地域の血が作る、絶対譲れない領域がある。
故郷を離れて何十年経とうとも
ソウルフードというものは、
生まれた「地」の記憶を宿した
大切にしたいファクター。
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