COFFEE & GALLERY SALON " you "
COFFEE ROASTER " in "
自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰)
Since 2006
前の日記のつづき
AM10:00
宿を出て、「抱」さんへの道すがら、松下塾の奥様に田舎暮らしについて聞いてみる。
さぞかし面倒くさい付き合いや行事が多いだろうと思ったら、
地元民は昔、町に引っ越してしまい、
部落のほとんどは移り住んできた新しい人たちばかり。
お隣さんもオーガニック野菜を育てて商売している新村人で、
なんと自給率90%という驚異的な方々だそうだ。
一度過疎化し、逆転現象がおこっているらしく、
お祭りも、担ぎ手がいないため神輿は無く、神主さんのお払いのみ。
村人が10人も集まると、「今日はいっぱいいるなぁ~。」という印象だそうだ。
ここまで田舎だと、逆に干渉されることもなく自由なのか・・・・。
人付き合いが苦手な没頭系アーティストなんかには、
千葉の田舎は快適かもしれない。。。。
なんてことを話していると
AM10:30
自家焙煎珈琲店「抱 HUG」到着!!
車をおりると、なにやら焼いたような、こうばしい臭い。
焙煎・・・・いやなんか・・・・違うなぁ?・・・・。
ハグさんがニコニコしながら近づいて来ると、急に顔色が曇る。
「ん!?なんかコゲ臭くないっ?」
「確かに。」
「あっ、サイドブレーキ引きっぱなしで来ちゃったぁ、わぁわぁ、
なんか重いなぁとは思ってたんだけど、沢山乗ってるからかなぁっ?
って。ハハハッ。」と笑う奥様。
「いやいや!早くサイドはずさないとブレーキ利かなくなっちゃうから!」
とハグさんのほうが焦る。
ちょっと気づいてはいたけど、奥様は天然である。
思わぬハプニングで、すっかりオープンしたての喫茶スペースに
目がいくのが遅くなってしまったが、
ハグさんも、築100年はあろうかというお宅を焙煎室に、
はなれを喫茶スペースに改築し営業している。
これまた、知らないと来れないような場所ではあるが、
「松下塾」さん同様の素晴らしいリノベーション珈琲店だ。
それもそのはず、松下さんが数ヶ月かけて手がけた物件であった。
そもそも今回の旅は、丁度良いタイミングで
この喫茶スペースオープンの知らせがハグさんから届いたことに始まる。
ハグさんとは以前、焙煎士の集いで、お隣りの席になったことがご縁で
知り合うことができた、珈琲界の先輩である。
ブレーキが冷えるまで松下さんの奥様とご一緒に珈琲をいただくことに。
お世話になったお礼に、珈琲をご馳走することにした。
と、おもむろに口を開いたハグさんが、
「ネジさんたちお二人の分は、もうお代いただいてますから。」と
意味深な笑みを浮かべる。
!!!?? なにそれっ?
私たちが呆けた顔をしていると、察したハグさんが説明してくれた。
数日前にフラッとやってきたスナフキンみたいな御人が、
「ネジさんたちも来ますから。」と、お代を置いていかれたらしい。
カッコヨすぎっスヨ~先輩!!
そう、そのお代を置いて行かれた方も、非常にお世話になっている
「かうひい堂」さんという珈琲界の先輩なのであった。
いっけん商売敵に見える珈琲屋どうしも、
脈々と受け継ぐ珈琲魂を持つものどうしとして繋がる、
静かなる「絆」のようなものがあるようなのだ。
このように、懐の広い学ぶべき方々に恵まれたことは、
一駆け出しの珈琲屋として本当に幸せなことだ。
いただいた珈琲は、どれもがカップに柔らかな優しさが満たされていた。
その包みこまれるような安心感の苦味は、まさに「抱」さんそのものであった。
さらに、珈琲のお供にベストマッチなスコーン、ラスクを
ハグさんにご馳走になってしまう。
お知り合いが作られているようで、どれも美味い。
しばらくすると、
「主人がサンマ焼いて、遅いなぁと思ってるだろーから、そろそろ帰りまぁす。」と
ブレーキの冷えた松下さんの奥様はお帰りになられた。
「お気をつけて~。」(マジにネ。)と心の中で思う。楽しい思い出をありがとう。
珈琲の表現はさまざまであるが、
自分の好みの芯にズドンとハマル珈琲は、なんとなく創り手も尊敬できる人格者が
つくっている場合が多い。
そういう珈琲には、必ず創り手の人柄が表れている。
豆の採れる標高、降水量、種類なども、味を決める重要な要因ではあるのかもしれない。
しかし、なによりも最終的には、
それをチョイスし、仕上げる人物の信念が味に現れているものが、
何より理由関係なく心に響く、「楽しい一杯」を作り出すのではなかろうか。
そういう珈琲が、そういうヒトが、そういうモノが、わたしは好きだ。
不思議と、くるぶしが「旨い!」という珈琲もそういう珈琲だ。
珈琲の好みにうるさい人だが、ある意味の選択においては「鼻が利く」天才である。
ハグさんの珈琲との出逢いによって、
最近腑に落ちていなかったものが、
晴れた思いがした。
PM12:30
「東総元駅はTVチャンピオンの職人が作った駅だから面白いヨッ。」と
ハグさんに教えてもらい、ムーミン列車の最寄駅まで歩いていくことに。
豆を売ってもらい、途中まで送ってくださったハグさんに別れをつげる。
雨の田舎道を、駅へと歩く
麦わらポンチョと、ウィンドブレーカーの珈琲屋が ふたり。
サイドブレーキの一件から、また滑稽なネジが巻かれ始めていることに
珈琲に満ち満ちた二人の背中は、まだ知らない・・・・。
つづく
AM10:00
宿を出て、「抱」さんへの道すがら、松下塾の奥様に田舎暮らしについて聞いてみる。
さぞかし面倒くさい付き合いや行事が多いだろうと思ったら、
地元民は昔、町に引っ越してしまい、
部落のほとんどは移り住んできた新しい人たちばかり。
お隣さんもオーガニック野菜を育てて商売している新村人で、
なんと自給率90%という驚異的な方々だそうだ。
一度過疎化し、逆転現象がおこっているらしく、
お祭りも、担ぎ手がいないため神輿は無く、神主さんのお払いのみ。
村人が10人も集まると、「今日はいっぱいいるなぁ~。」という印象だそうだ。
ここまで田舎だと、逆に干渉されることもなく自由なのか・・・・。
人付き合いが苦手な没頭系アーティストなんかには、
千葉の田舎は快適かもしれない。。。。
なんてことを話していると
AM10:30
自家焙煎珈琲店「抱 HUG」到着!!
車をおりると、なにやら焼いたような、こうばしい臭い。
焙煎・・・・いやなんか・・・・違うなぁ?・・・・。
ハグさんがニコニコしながら近づいて来ると、急に顔色が曇る。
「ん!?なんかコゲ臭くないっ?」
「確かに。」
「あっ、サイドブレーキ引きっぱなしで来ちゃったぁ、わぁわぁ、
なんか重いなぁとは思ってたんだけど、沢山乗ってるからかなぁっ?
って。ハハハッ。」と笑う奥様。
「いやいや!早くサイドはずさないとブレーキ利かなくなっちゃうから!」
とハグさんのほうが焦る。
ちょっと気づいてはいたけど、奥様は天然である。
思わぬハプニングで、すっかりオープンしたての喫茶スペースに
目がいくのが遅くなってしまったが、
ハグさんも、築100年はあろうかというお宅を焙煎室に、
はなれを喫茶スペースに改築し営業している。
これまた、知らないと来れないような場所ではあるが、
「松下塾」さん同様の素晴らしいリノベーション珈琲店だ。
それもそのはず、松下さんが数ヶ月かけて手がけた物件であった。
そもそも今回の旅は、丁度良いタイミングで
この喫茶スペースオープンの知らせがハグさんから届いたことに始まる。
ハグさんとは以前、焙煎士の集いで、お隣りの席になったことがご縁で
知り合うことができた、珈琲界の先輩である。
ブレーキが冷えるまで松下さんの奥様とご一緒に珈琲をいただくことに。
お世話になったお礼に、珈琲をご馳走することにした。
と、おもむろに口を開いたハグさんが、
「ネジさんたちお二人の分は、もうお代いただいてますから。」と
意味深な笑みを浮かべる。
!!!?? なにそれっ?
私たちが呆けた顔をしていると、察したハグさんが説明してくれた。
数日前にフラッとやってきたスナフキンみたいな御人が、
「ネジさんたちも来ますから。」と、お代を置いていかれたらしい。
カッコヨすぎっスヨ~先輩!!
そう、そのお代を置いて行かれた方も、非常にお世話になっている
「かうひい堂」さんという珈琲界の先輩なのであった。
いっけん商売敵に見える珈琲屋どうしも、
脈々と受け継ぐ珈琲魂を持つものどうしとして繋がる、
静かなる「絆」のようなものがあるようなのだ。
このように、懐の広い学ぶべき方々に恵まれたことは、
一駆け出しの珈琲屋として本当に幸せなことだ。
いただいた珈琲は、どれもがカップに柔らかな優しさが満たされていた。
その包みこまれるような安心感の苦味は、まさに「抱」さんそのものであった。
さらに、珈琲のお供にベストマッチなスコーン、ラスクを
ハグさんにご馳走になってしまう。
お知り合いが作られているようで、どれも美味い。
しばらくすると、
「主人がサンマ焼いて、遅いなぁと思ってるだろーから、そろそろ帰りまぁす。」と
ブレーキの冷えた松下さんの奥様はお帰りになられた。
「お気をつけて~。」(マジにネ。)と心の中で思う。楽しい思い出をありがとう。
珈琲の表現はさまざまであるが、
自分の好みの芯にズドンとハマル珈琲は、なんとなく創り手も尊敬できる人格者が
つくっている場合が多い。
そういう珈琲には、必ず創り手の人柄が表れている。
豆の採れる標高、降水量、種類なども、味を決める重要な要因ではあるのかもしれない。
しかし、なによりも最終的には、
それをチョイスし、仕上げる人物の信念が味に現れているものが、
何より理由関係なく心に響く、「楽しい一杯」を作り出すのではなかろうか。
そういう珈琲が、そういうヒトが、そういうモノが、わたしは好きだ。
不思議と、くるぶしが「旨い!」という珈琲もそういう珈琲だ。
珈琲の好みにうるさい人だが、ある意味の選択においては「鼻が利く」天才である。
ハグさんの珈琲との出逢いによって、
最近腑に落ちていなかったものが、
晴れた思いがした。
PM12:30
「東総元駅はTVチャンピオンの職人が作った駅だから面白いヨッ。」と
ハグさんに教えてもらい、ムーミン列車の最寄駅まで歩いていくことに。
豆を売ってもらい、途中まで送ってくださったハグさんに別れをつげる。
雨の田舎道を、駅へと歩く
麦わらポンチョと、ウィンドブレーカーの珈琲屋が ふたり。
サイドブレーキの一件から、また滑稽なネジが巻かれ始めていることに
珈琲に満ち満ちた二人の背中は、まだ知らない・・・・。
つづく
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