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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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相方であるエスプレッソ担当「くるぶし」の実家は静岡である。
彼女はちょこちょこ実家へ帰ってはいたものの
この仕事を始めてから、私はほぼ静岡へは顔を出せていない。
なんとも冷たい娘婿である。ごめんなさい。


約10年ぶりに帰る家は、ドアが新しくなっていた。

キッチンが素敵だったり、

カプチーノがお洒落になっていた。


カプチーノとは義兄が乗っているスズキのスポーツタイプ軽自動車である。
とても可愛くイカした、ナイススタイルカーなのだ。
もう1998年には生産が終わっているレアな車だ。


妹がバリスタで、兄がカプチーノに乗っている。
偶然とはいえ、なんとも出来すぎな話しだ。
もちろん兄のほうがずっと昔から飽くことなくカプチーノを愛しているので
妹は後発である。


カプチーノは、よりコーヒーに近い色にドレスアップされ
草食系のオールドタイプの面影はなく、
アグレッシブルな黒きユニコーンの如き進化を遂げていた。

くるぶしはこの10年でこのカプチーノに追いつけたのだろうか?


そのくるぶし。実はこの帰郷には顔見せの他に重要な裏目的があった。


遺跡巡りである。


彼女は最近「如何にして最善に生きるか」という問いを
古代の人々の暮らしや意識や表現に見出しはじめ、
特殊な野獣的本能から独自の研究を進めている。


エコでもロハスでも、ナチュラル系でもネイチャー系でもない。


それは全く新しい観点からプリミティブな人と都市、暮らしというものを現代にマッチさせる
部分的ゆるくファジーな原点回帰である。
それを進化と呼ぶかは分からない。
だが、自分として生きる。という深化にはなっているようだ。


彼女は生まれ育った地に、登呂遺跡をはじめとする遺跡群が存在することを思い出し、
そして彼女のバイブルである諸星大二郎氏が著した書物から静岡近郊に残る伝承を紐とき
今回旅に出るに至ったのである。









てなわけで、登呂遺跡。

なんと無料閲覧可能な博物館一階には
贅沢にも、再現された貫頭衣を着用できるコーナーがある。

くるぶし狂喜乱舞である。


弥生は稲作。稲作の象徴の稲穂を手に
左の画像は収穫の喜びを表現してみた。
布は綿で、腰に紐で縛り反物を止めるタイプ。

右は麻である。
少々長めでラインが下にいくに従い広がっている。
たっぷりしていて作業もし易そうだ。
ちょっと格好つけて撮ってみた。
後ろが土器じゃなければ、どこぞのブランドの新作発表のようである。

この時代綿花が盛んに栽培されていたかは疑問であるが
植物の樹皮や、苧麻から、麻素材は取られていたようである。

染めに朱色も用いられ、魔除け的儀式的意味合いからもネックレスなどの装飾品を
身につけていたことから、
案外縄文弥生の人々は現代に負けず劣らずお洒落であったろうと思う。









外にはいくつかの高床式倉庫、ストロー状植物素材を利用した住居が
農耕集落を形成しており、火おこしも体験できる。
くるぶし、非力過ぎてまったく火が起きない。
どうやら将来火おこしは私がやることになるであろう。

素材の違う木を組み合わせることで大概の木材での火起こしが可能だと
職員のオジサンが教えてくれた。


ここでは古代米も栽培され、赤米、黒米、緑米などが稲作されている。

丁度、採れた赤米を、復元した土器で煮詰め試食させて下さった。
口に運ぶ器兼匙は、園内のシイの葉だ。
徹底していて嬉しい。
お味は、少々固いが穀物のふくよかなコクと甘み、それに土器の
スモーキーな風味も加わり、これだけでご馳走である。

職員さんに尋ねると、
稲作とまでいかないまでも、
縄文時代すでに米が食されていた痕跡が近年諸々の発掘調査で見つかっているとのこと。
日本では1万3000年以上の昔から米を食べていたことになる。
う~む興味深い。








そのほかにもいくつかの発見や有益な情報を得、古墳を巡り
歴女ならぬプリミティブ女子、プリ女くるぶしの
帰郷の日は暮れていったのである。







そうそう今回私たちがお邪魔させていただいた
静岡市立登呂博物館http://www.shizuoka-toromuseum.jp/には
素晴らしきミュージアムショップが併設されており
上の画像の登呂博物館、調査用オリジナル手帖などが売っている。
発掘には必須アイテムである。

非常に秀逸なミュージアムショップなので
ご興味がおありの方は、古代に想いを馳せながら、是非お寄り頂きたいものである。



くるぶし。
今回の旅で拍車がついたのか更に深く古代へ邁進没念としているご様子。

そうそうちなみに「くるぶし」
この名前は以前飼っていたウサギに彼女が命名したものを使用している。
期せずしてインディージョーンズの「インディアナ」と同じような由来である。

果たして、くるぶしジョーンズ博士はどこに行きつくのであろうか?

そして、私は次に帰るときは絶対義兄に
カプチーノの助手席に乗せてもらおうと思う。
運転が下手過ぎて車に乗れないが、車は大好きなネジなのであった。

可笑しな二人の珈琲旅はどこまでも続く。








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