まだ青梅でお店をはじめたばかりのころ、
一年くらい、メディアというものに
スポットを当ててもらえる機会は
無かった。
片田舎の変な店には
客もほとんどおらず、
丹精籠め煎った豆は、そのほとんどを
味が落ちれば、捨てた。
たまに、もの珍しげに入ってくるお客には
味や価格はもちろん、インテリアや、蕎麦猪口で珈琲という提供スタイルにいたるまで、罵倒される日々。
気を紛らわせるための山歩き川歩きが、日課だった。
山の土の匂いが、川のトンビの旋回が、誰もいない店内に響く音楽が、
最良の友だった。
それこそ、爪にもひっかからない日々。
焦って、割引チケットのついた折込み広告を新聞にいれたり、
わかり易いよう、わざとダサい文字で「自家焙煎珈琲店」という
看板をつけたりもした。
己の追求する道から外れた焦りの招く行動は、すべて裏目に出た。
自分の味もセンスも、信じられなくなったことさえ、あった。
だが、信念にしたがい続けることが、縁を紡いでくれることも、ある。
ある時、お店を訪れてくれたフードライター
渡部和泉氏http://www.h4.dion.ne.jp/~cactus_w/izumi/の手によって
2008年1月号。「カフェアンドレストラン」という専門誌に取り上げられたのだ。
普段の彼女の連載ページを「彼のカフェストーリー」として
「ねじまき雲」は特集ページを組んでもらえた。
はじめてだった。
それがキッカケかどうかは解らないが、
「ねじまき雲」の味を、空間を、時間を求めて
少数ではあるものの、
同業者や、ライター、カフェマニアが、
全国から、訪れてくれるようになった。
おかげで、
いまだ少数ではあるものの、
当店を愛してくださる常連様や、心強い同業者、背中を押してくれるライターさんたちを得、
かけがえのないものだけに支えられ、
七年目を、歩んでいる。
そんなキッカケをくれた渡部和泉氏の連載。
2013年1月号。「カフェアンドレストラン」12月19日発売http://www.asahiya-jp.com/cafe_res/index.html
「小さなカフェの開業物語」に
移店後の新・「ねじまき雲」陽&陰を
また、とりあげてもらうことが、出来た。
時間と、労力と、ページを割いていただき、素晴らしい写真と文章とが
新しいが、変わらない「ねじまき雲」を
伝えてくれている。
2008年1月から5年の月日が、経った。
変わらずに変わり続ける、代わりの無いものであり続けようと思う。
渡部和泉さん、有難う御座います。
確かに、私が始めて青梅店に行った頃は、他のお客さんをみることはありませんでした。
その後もちょくちょく店の前を通るものの、ねじさんの高い志に、普段あまり珈琲を飲まない自分が行くのも失礼な気がしてしまってなかなか入ることはできませんでした。
でもずっと気にはなってて。
そうこうしている間に、なにやらとても有名な処になってしまって(‥!)
やっぱ本物は残るんですね。
決して甘くはない険しい道を貫いてくれていて、それがこうして実を結んでいて、
私も自分の信じること、やりたいこと、
周囲には理解されないであろうことでも、
貫いてみよう、って
ひとつ勇気もらいました☆