COFFEE & GALLERY SALON " you "
COFFEE ROASTER " in "
自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰)
Since 2006
タナショーは削る。
命を浮き立たせるために、削る。
そのお店に珈琲の納品に行くようになってしばらくすると、
時折耳にする魔法の呪文があったのです。
そのお店とは、前々述のブログでご紹介した「スープの時間」の主役のお店。
前述のブログでご登場いただいた門野氏がオーナーシェフを務めるお店です。
呪文の言葉は「タナショー」
会話の端々にこの言葉が登場するようになりました。
ハラショー?
ショーケン的な??
ちょっとロシア風の響きでもあり、
一昔前の探偵ドラマ俳優の呼び名のようでもあります。
こちらのお店は武蔵野美術大学の目と鼻の先にあります。
その面構えは京都の小料理屋のように端正で
格式高い格子で覆われているのです。
おいそれと、若者が何気なくというわけにはいきません。
志し高き若人だけが、この門をくぐる切っ掛けを手にするのでしょう。
その一人が彼、タナショウこと田中彰さんでした。
彼は在学中、母校とこの父なるカフェと自宅とを往復する
黄金のトライアングルの中で学生生活を過ごしました。
それゆえに、田中さんにとってこのお店は
かけがえのない生活の一部であり
自分の心身を形作る一部とまでなったのです。
それと同時に
カフェにとっても彼は、かけがえのない存在となっていきました。
ある日彼が作った作品の一つが、
偶然にも門野氏が長年探し続けていた絵、そのものだったことまである位に。
田中さんは大学院を修了し、工房を構えご活躍しながらも
いまだご自宅と工房とこのカフェの、
黄金のトライアングルを崩さぬ人生を送っておられます。
彼は木を彫る男です。
彼の心の刀は、非常に緻密に対象のもつ造形の
内部や背景に潜む、目に見えぬ線までをも
削りだしていきます。
そしてそれを時には版画として紙へと写すのです。
紙。

紙と言えば門野氏のお店は、四方の壁からテーブルに至るまでの地が
紙で覆われている珍しいカフェなのです。
この紙はただの紙ではありません。
手すき紙。 染紙。
門野氏の尊敬する「紙舗 直」という紙屋さんの紙なのです。
直さんの理念は
「紙と人との間を模索」すること。
これもまた偶然ですが、田中さんが版画に用いていた紙も
そのほとんどが直さんの紙なのです。
門野氏は言います。
「直さんの紙は、その中から自然と出るものがあるんです」
出汁としての紙。
そう言えないこともないかもしれません。
それはとても感覚的なことなのでしょうけど、
田中さんもその感覚を共有しうるお一人だということは確かなようです。
古来より 紙 = 神 であるという意識があると
聞いたことがあります。
だから紙に書いた願いは叶うのだとも言われますし
しめ縄など神事に使われる紙垂も、紙なのです。
ねじまき雲で行われるイベント「スープの時間」
お客様に出汁が自然と滲み出たスープと珈琲を楽しんで頂いて、
その場で終わらせてしまわないように。
門野氏が特別に、ご家庭でも作れるように編み出した
黄金の出汁のレシピを
作成し販売してくださることになりました。
そのレシピ。
どうやらただ事ではないようです。
門野氏と一心一体の田中彰さんが、
出汁をとるうえで重要な場面の絵を
一枚一枚版を彫り、一枚一枚手刷りした作品を
趣向を凝らした手作りのレシピ入れに
納めるというではありませんか。
なんと・・・手間のかかることを・・・
鰹節のように削られていく木という生命力から、
出汁たる紙に転写される
神の宿りし秘伝、黄金の出汁レシピ。
これがまた、一品一品手仕事による作家の作品集のような
秘伝のレシピにも関わらず
驚くべきお値段になりそうなのです。
高いの?安いの??
どちら側に驚いていただくかは、お越しになってからの
お楽しみに。
ただ一つ心配なのは、
果たして会期までに完成するのかしら?
・・・それだけが、心配です(笑)。
コラボイベント
「スープの時間」
5月24日(日)25(月)26(火)
場所:ねじまき雲(陽)
14:00~22:00 LO21:30
詳細は追ってお知らせいたします。
田中 彰 HP http://www.tanakasho.com/
PR
この記事にコメントする