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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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橋のたもとにかかった桜の蕾が、

ひとつづつ弾けるようなリズムで

時はまた、ポツポツと刻まれ始めた。



ねじまき雲には、でたらめに時を刻むふたつのねじまき時計がかかっていた。
お客さんから「20分ずれてますけど・・・。」と指摘されることもあった。

それで、いいのだ。

古い時計の中に巻かれたコイルは、
その時その場所の湿気や温度で呼吸し、微妙にメトロノームがずれてゆく。

世界と符合しない時の流れの中に、
その場だけの濃密な刻の流れの真実はあるような気がするのだ。

だからねじまき雲の時間には、正確さを欠いた性格さがある。

そしてその時計のネジは、2011年1月末をもって巻かれることなく時を止め
2012年3月28日に至った。


3月28日水曜日、国分寺新生ねじまき雲の営業許可がおりた日。
くしくも私が勝手に戦友と呼ぶ珈琲店店主の定休日と重なった。

その尊敬する店主の方をお招きし、
進水式をしていただいた。

定休ではあるものの、お店で仕込みをしている最中
駆けつけてくださった。

船を出すときはこの人にと決めていた。

かつて彼から貰ったウイスキーを二人だけで開ける。

今は無いというその蒸留所のウイスキーは
春の桜の薫りを纏ったかのように、とても芳醇で甘かった。


乾杯。


そして珈琲を淹れ、
国分寺にかかる時計のネジを巻いた。
初めて刻む時の流れは、
何故か「合っているか解らない。」という彼の携帯電話の時刻に合わせた。
この場には、それが合っていると思う。
貴重な定休日のお時間をお割きいただけたことに、心より感謝。


この夜、青梅に帰り、止まったままの時計のねじをふたつ巻き、
時を刻む時計はみっつになった。



明日、
2006年はじめてお店を始めたとき、やはり彼からもらったコーヒーポットを
国分寺に持ってゆこう。
6年ともに過ごしてきたポットで
明後日からまた、新たな気持ちで歩もうと思う。


そしてまた数十年後、珈琲の香りに暮れなずむ時の中で、
彼と残りのウイスキーを飲んでいたいものだ。

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