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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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鉛色の腹を青空に引き摺りながら、
一匹のジェット機が遠い彼方にごわんごわん吠えている。

私は飛行機に詳しくないから、
戦いそうなシルエットは全部ジェット機と呼んでいる。

「府中からかなぁ」
「あの音、不安」
隣を歩く相方のくるぶしが、
トイレでも行きたそうにゾワッとして呟いた。

「そーかなぁ?」
「凄く不穏。でも平和な感じもする。夏っぽいよね」
彼女は、さも説得力あり気に言葉を発するが、
ちっとも脈絡なく、思いがけない着地点に話しが落ちてゆく。
「はぁ?ん~夏っぽくは、あるかなぁ・・・」

国分寺断崖の急坂を、赤いママチャリを押して前ゆくオバチャンが2人。
アスファルトの熱で、お尻がゆらゆら揺らめいて蜃気楼のように遠い。
ミンミンゼミ、つくつくぼうしの騒々しいヘヴィーメタルを聴きながら、
赤い鉄の塊を押し上げ揺らめくオケツを見ていると、
ジェット機の音が不思議と夏っぽく聞こえるものだ。

夏だな。でも平和な夏なんてあるもんか。
ジェット機の音は不安なんだ。
平和な気にさせられてるだけだ。ずっと戦争なんだ。
何だって色んな悲惨は何一つ終わってなんかいない。
置き去りにされてるだけで、また上塗りを繰り返す。
それを忘れぬことだ。

暑かったって何だって、確固たる個である限り、
私たちは絶望なんかしない。
地球がひっくり返っても私は何処かで黙々珈琲を煎っているだろう。

不安な晩夏は、珈琲で吹っ飛ばす。
緩く涼しげなカフェなんて、辞めだ。

渇れるまで鳴く蝉時雨のようにあくまでもへヴィーに。

此処で淹れ続けることを選択した私たちは
不穏を含んだ常軌など逸して
残暑を乗り切るんだ。

涼しいのは、ヒグラシの声だけで十分だ。


ねじまき雲のサマータイム



「ストイックサマー」



実験的に営業時間を平日に限り

17:00~23:30

ラストオーダー23:00とします。
クーラーがきかないので日中は暑いのです。

土日祝日は通常通りの時間

14:00~22:00営業です。


さらに全日珈琲以外のソフトドリンクを廃止
リンゴジュースもジンジャーエールも当然ココアもありません。
珈琲が飲めないお子さまが飲むものはありませんので
大人ではない子供は入れません。

珈琲の飲めないお子さまはご入店をご遠慮いただきます。
乳幼児もご遠慮いただきます。

二人以上のご入店(二人まではOK)、三人からのご入店も禁止といたします。

珈琲も、カリタブレンド、サイフォンは無し。

水出し珈琲は通常版に加えコンデンス入りとマイルドの3種類に増加。

カフェオレのアレンジを一種追加。

ストレートを増やし、ネルドリップを二種追加。

アルコールも増やします。

ストイックといいつつスイーツは消しません。
画像は先日からの残暑バージョン白あん羊羹。

「塩キャラメルの白あん 金平糖のせ」

塩キャラメルで熱中症対策と、
夏の終りの花火のような
昔懐かしい金平糖をトッピング。
昔はメジャーだった日本の駄菓子も、いざ買おうとすると
売っているところが無くて困ります。
今時の子供には受けないのでしょうか。
だからこそ、大人が食べよう金平糖。



サマータイム期間:8月31日(月)~9月6日


*延長の可能性もございます。
その場合はこちらのブログでご報告させていただきます。


☆9月は岡山県へ出張珈琲につき
9月9日~15日はお休みとさせていただきます。
ご了承ください。




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昔はアパレル関連副資材業に勤めておりましたので洋服が好きで
毎週末、代官山や裏原宿、青山、下北沢などに
買い物に行ったものです。


ビームス、ハリウッドランチマーケット、APCにポールスミス
ドリスヴァンノッテン、クリストファーネメスにセントジェームス
ヴィヴィアンウエストウッド、エイプ、リアルマッコイズにコムデギャルソン


好きだったブランドも、並べるとなんだか呪文のよう。

それにしても日本人はお洒落が好きですね。
日本のファッションシーンは今や”Kawaii”などと言われて
世界的に注目されているようです。
衣食住のうちの衣ですから、
長い歴史のなかでここまで多様性をもって
浸透していったのも自然なことなのかもしれませんね。

お洒落若者だった当時、新宿に行くと必ず寄っていたお店に
「ユナイテッドアローズ」というお店がありました。

セレクトやレイアウトがカッコよくて、
大人びたファッションアイテムを見ると、
少し背伸びをしたお洒落の参考になったものです。

何時の頃からか展開を広げて
グリーンレーベルというセカンドラインを
いろいろな街で見かけるようになりました。

珈琲業に就いてからというものの
アパレル関連から遠のいて久しいのですが、
嬉しいことに、ユナイテッドアローズさんの
広告一環である部数限定情報発信誌

「THINK LOCAL」

の国分寺版に載せて頂ける事となりました。

有難いことに、編集の方が以前国分寺店の取材でお世話になった
出版社の編集者さんでした。
今は以前の出版社をご退職し、フリーとのことでしたが
どこでどうご縁が繋がるか分からないものですね。
感謝感謝です。

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」
セレオ国分寺店に置いてあります。

欲しい方は部数限定ですので、
ユナイテッドアローズで衣替えがてらお早めに。








天気予報図の日本列島は毎日真っ赤。
年々暑くなってその内日本はゆでダコになるだろう。
インドでは道路が融けたそうだ。インドカレーもびっくりだ。

この季節になると塩飴とか塩ドリンクだとか
塩入りの何かが熱中症対策に出回る。
人の身体は海と同じだから、塩無しには生きれない。

ウチでは今年も、相方のくるぶしが梅干しを漬けた。
ザルの上で干され、粉を吹いたようで薄桃色にもちりとなった肌から、
ふわり甘い香りが漂う。
手塩にかけた梅は酸っぱいより、果物のような甘い香りがする。
その香りと裏腹に口に含めば、死海を放り込んだみたいにガツンとしょっぱい。
でも、しょっぱい梅干し一粒とヒトカケの昆布をコップに落として
お湯を注げば、じわり慈味が染みだして香りがたつ。
夏の暑さにはぴったりの、
熱中症予防塩梅スープになる。

海は塩分濃度約3%。死海は20%以上というから、
塩分18%のウチの梅干しは死海寄り。
そのままだと頭の中に星が出そうなしょっぱさだ。
ちなみに38g使って100ml抽出する当店のスタンダードなブレンドは
塩分に例えると濃度38%ということになる。
死海越えの濃さが通常品質なのだから、
激死珈琲店である。

塩のことを考えていたら、子供の頃やった塩の結晶作りを思い出した。
針金なんかに糸を巻き付けて塩水に浸すと、
糸についた結晶が霜柱みたいにキラキラ育っていくのだ。
目に見えなかったものがこんな綺麗に形を変えて姿を現すのだから、
不思議と思わずにはいられなかった。


塩の霜柱…


珈琲も、凍らせて結晶化させると霜柱になる。

今年もはじまります。
不思議の夏のねじまき雲名物

「霜柱」

梅干し作りの匠、くるぶしが抽出する特濃エスプレッソを
手間をかけ星屑のように生まれ変わらせて作る、
杯数限定、期間限定、ブログ限定の隠れメニュー。
通常メニューには載せないので、
この告知を知る人じゃないと注文出来ないのです。

知る人ぞ知るねじまき雲の熱中症予防です。

何故こんなこっそりやるのかって?
作るのが大変過ぎて量があまり作れないのです。
夏の魔法は溶けやすいので、
お早めにお召し上がりください。

ご注文の際は

「霜柱ありますか?」と、

こっそり濃度100%でお伝え下さい。



*8月7日(金)「霜柱(しもばしら)」解禁。












「少年よ、大志を抱け」


(ウィリアム・スミス・クラーク)




北海道人にとっては馴染み深い言葉です。



大志とは、何でしょう。



この有名な句。実は単独で語られたものではないという説があるのです。
一説によると、


「少年よ、大志を抱け。
金や私欲でなく。
名声などという
浮ついた虚しい志でもない。
人としていかにあるべきか。
その道を成し遂げるために
大志を抱け」


金や名声なんかじゃない。
人としての道を究めるための

大志。


ほかにはこういう説もあります。


「この老人(私)のように
若き者よ、大志を抱け」

「野心を燃やすことなく、
人間の本分をなすべく
大望を抱け」


人間の本分のために、生きる大望であれと。


そう生きている、いや、そう生きようと
足掻いて、抗って、
10年だったり38年だったりと、


「ぼくはこうだ。あなたは、どうなんだ?
世の中、どうなってもいいの?」


と、裸の魂を籠め、
背を見せ生きている珈琲屋さんたちを
少なからず知っています。

大望・・・大志・・・。
大がつくもんは、
シツケーし面倒クセーもんが多いけど
やっぱりデカいなぁ~
っていつも思います。

動きのデカさではありません。
金額の大きさではありません。
知名度の広さでもありません。
世の中全体からしたら、世界からしたら、
小さいことかもしれません。
しかし、人ひとり
生をまっとうする姿というのは
動きに溢れています。感動という動きに。

理屈や掛け値なしに動ける魂を見ると熱くなります。
この個人というコンパクトなインパクトが
誰かの魂にピンポイントにスパイクショットを
叩き込むことだってあるのです。

1年に人一人の真の魂を動かせたら、
10年で10人。38年なら38人。
積み重ねはデカい。

でも10年同じことを続けるってことは
とても大変です。
それが世の中の常識的概念において
クレイジーなスタイルであればあるほど
結果はどこまでも見えないものです。

それでもその大志は、私という
一人の珈琲屋を突き動かしてくれています。
老人?の背からは辞めない意義を、問いを、もらえます。
卸し先様からは、変態トスを上げ続けさせていただける
喜びをもらっております。
ほんとうに有難うございます。

いつも事後報告になりますが、
先月末で当店も9周年。
10年目に突入いたしました。

29歳で始めて

40手前

38歳になりました。
画像右、いただきもののウイスキーと同い年。

孔子いわく

「30にして立つ
40にして惑わず」

30で立つには立ったけど
40目前に、ぜんぜん惑いまくりです。

誰かの魂を動かせるなんてデカいことは、
何一つ成せていません。

名は体を成す。
私の本名は「慎吾」です。

「吾は、真に小さい」の略でしょうか。
名に小が入っているせいか
大きいのは体ばかり。慎み過ぎな小さい男です。

いや、違うな。こうも考えられます。

「吾は、小さい真である」と。

人の生の、世の中の、小さな真。
10年目もそうあり続けましょう。
マイナス思考をプラス志向に変えていく。
これも卸し先様がたあっての私の中の小さな変化です。

38年付き添ってくれた素敵な名前。
親に感謝です。

自転車は前の大きな歯車と後ろの小さな歯車をチェーンで結ぶことで
強大なパワーを生み前へ進みます。

陰日向、大きな志持つ人あらば、寄り添える小さき真であろう。


小さい頃大好きだった映画に

「ぼくらの七日間戦争」という映画があります。

主演は宮沢りえさん。
澄んだ湖みたいな潤いが、素敵だったなぁ~。
ビデオが擦り切れるくらい見ました。

常識でがんじがらめにする理不尽な大人たちに
中学生たちが反旗を翻し、秘密基地へ立てこもるという内容でした。

その劇中

老人が、中の(立てこもっている建物)少年たちに伝えてくれと
いうワンシーンに次の言葉が出てきます。


「Boys be ambitious ! 」


中山ひとみ役の宮沢りえさんが

「頑張ってるのは男の子だけじゃないんだから。
それを言うならBoys and Girls be ambitious よね!」

と言うのです。まったく仰る通り。

いや、40でも50でも60でも
おそらく私は惑っているでしょう。

だから、少年少女よ、中年も老人も、いつまでも

大志を抱け。


この映画、主題歌はTMネットワーク
「SEVEN DAYS WAR」
CDも買いました。

この歌詞がね、いいんです。

こういうことなんです。
言いたいことって。


歌詞を載せてくださっているページがありましたので
ご興味おありの方はどうぞ。

TMネットワーク「SEVEN DAYS WAR」http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=37937





さて、来月はひさしぶりに大志を抱きし珈琲を飲みに
中央線に乗り込もう。



そうそう、夏風邪が流行っているみたいです。

くしゃみが出ている方。

暑さ対策も勿論ですが、電車に乗る際などは冷房対策も忘れずに。



「おだいじに」









山の稜線に重なった雲のパテを、サンドイッチするような夕焼け。
沈む瞬間はいっすん燃え上がり、ビニールハウスのカマボコ姿が
神聖な礼拝堂のように輝いていた。

目的を果たした後は、勝沼の宿に落ち着いた。
部屋から望む夕陽が日常をリセットしてくれる。

じつはこの旅をプロデュースくださった方がいる。

青梅のねじまき雲の坂下にある清宝院では
毎月第四日曜日の10時~15時
「O' terra  market(おてらまあけっと)」
https://ja-jp.facebook.com/oteramarket
という市が開かれている。
当店の顔なじみも多く出店する気持ちの良い市だ。

この市を立ち上げ、精力的にイベント活動を催し
ところによっては当店の珈琲を美味しく淹れてくださっている
「イルテンポボーラ」のボーラおばさんと
勝沼でカフェと、まち案内をされている「つぐら舎」さんご店主のお二人が
山梨旅プロデューサーだ。
「近場で充実した縄文文化の博物館と安くてくつろげる宿」という
旅のお題をあげると
何でも知ってるボーラおばさんは

「あるわよ。あたし、知ってる」と

「つぐら舎」さんhttp://ameblo.jp/yamanekineko/をお連れくださった。
つぐら舎店主さんも精力的にイベント活動を営んでおり
彼女の主宰する「つぐら市」という市にはボーラおばさんも
参加している。

釈迦堂遺跡博物館と今回泊まる宿

「川口園」さんhttp://kawaguchien.jimdo.com/

をご紹介くださったのは彼女たちである。

川口園さんはその名の通り、ぶどう園を経営しており
ぶどう畑に囲まれた宿だ。
時期によってはぶどう狩りも楽しめる。
ボーラおばさんは川口園さんに
希少ぶどう品種の畑の手入れを教わっている。
なんと氏の畑は釈迦堂遺跡博物館のすぐ近くだそうだ。


とにかく、川口園さんはイイ。

しつらえは比較的新しく、全5部屋というこじんまりとした感じが
ペンションか少し大きな個人宅のようで、
肩肘のはらない居心地にさせてくれる。
そしてこの自分の部屋の如く普通に寛げる空間。
要所の掃除、ベッドメイキングなどが隅々行き届き
なんともすがすがしい小気味良さなのだ。
これはとても重要なポイントだ。
この辺が行き届いていると、旅の疲れは一気に癒えるのだ。
日常からかけ離れすぎず、
かと言ってこちらの手間のない非日常の
清潔感を味あわせてくれる。

接客も過剰さがまったくなく、
そこが逆に家族水入らずで楽しませてくれる
心遣いを感じる。
なんでもいたせりつくせりにすれば良いというわけではない。
こちらが気づまりしてしまっては容易に寛げぬものだ。
まぁ、いたせりつくせりが好きな人もいるのかもしれないが、
我々には何から何までジャストミートであった。





夕食は旬の野菜と貝とエビの彩り豊かなサラダにはじまり




時節であるこごみと、香草を添えた牛蒡のワイン煮の前菜


 
川魚の塩焼きに枯露柿のチーズ巻き、
天婦羅は、4月中旬からゴールデンウィークにかけての時期しか出せないという
ぶどうの若葉。
柔らかい食感と爽やかな風味が、
サワリとした衣に封入されている。
ぶどうの産地ならではの贅沢。




魚が出たというのに、肉もある。
食事は1階の食堂で食べるのだが
各テーブルには最新の火力自動調整鉄板が据え付けられており
油要らずの焦げ知らず。
鍋奉行要らずの便利な時代になったものだ。

これが二人では食べきれないと思えるほど
大量の野菜と厚切りの地産豚肉であったのだが、
自分で釜からよそえるおかわり自由の炊き立てご飯を三杯も頂戴すると
ペロリと平らげられるほど肉質の柔らかく、
程よい油で臭みのない豚であった。
これをいい塩梅の自家製タレで食す。

ここに挙げた画像以外にも枚挙しきれぬほどの
趣向をこたした品数なのだ。

もちろん、
フルーティーなれど甘すぎず、
適度に厚みのある極上の自家製ワインをはじめとする
貴重な自家製酒がお得なお値段で豊富にあるので
追加の酒もサラサラと進んでしまい
危険な夕食である。

朝は朝で




凄い。
の一言に尽きる。
当然吸い物とおかわり自由の炊き立てご飯もセットである。

これだけの内容でお一人様8000円を切る驚きプライスなのだから、
泊まるのならば絶対に晩と朝の二食つけることを強くオススメしたい。

むしろこちらだけのために勝沼へ行くのでも
滋養になって身体も休まるのだから
明日の英気を養うにはうってつけのお宿なのだ。




昨日飲み過ぎたので、自家製のぶどうジュースを一杯。





早めに宿を出た我々は、ブラブラとポタリングしながら
ワインの資料館や図書館を巡り
頃合いで炎天下の勝沼ぶどう郷駅へと向かった。

途中広がるぶどう畑の斜面では、そこかしこにあるスプリンクラーが
プシュプシュあらぬところに水をかけかけ仕事をしているので、
愉快で少し暑さも和らぐようだった。

駅の脇にある公園には昔懐かしい中央線の旧車両が鎮座している。
鉄道マニアなら喜ぶ景色なのだろう。
風雨激しい山梨の急勾配を
来る日も来る日もワインや人足を乗せて耐え忍んだかもしれない
車輪部分の堂々たるは
素人目にも質実剛健、馬車馬のような筋肉美を感じる。

行きと同様に駅舎近くで自転車を輪行袋にいそいそと仕舞いこみ、
重い車体を肩に食い込ませながらホームへと上がる。

するとどうだろう。
何となく後方に殺気を感じるのだ。
振り向くと我々以外には誰もいない。
おや?おかしいな・・・と思い数歩進んだが、
どうも気のせいではない違和感がある。
またゆっくり振り向くとホームの柱に隠れ隠れ
こちらを伺っている人影があるではないか。

「あ?あれっ・・・え?もしかしてつぐら舎さん、ですか??」

「ふっふっふ。そーです。こんにちは。どうでしたか山梨は?」
近づいてくる人影は、やはりつぐら舎ご店主である。

「えっ!?てかどうしてここに・・・だって」
店主さんは前日ボーラおばさんと地方に打合せに行っていたはずである。
それに我々が今こうして駅にいることなどどうして知る由があろう。

「あはは。いやいや、そこかしこに私の情報網があるのでね。ふふふ
この街でお二人のことはすぐ私に伝わるようになってるんです。ほいっ!これ」
とほくそ笑み、やや芝居がかりながら
おもむろにぐいと伸ばした手には袋を持っている。

「え?ど、どうも・・・なんですか、コレ?」

 「馬肉コロッケ。美味しいよ。食べてね。じゃっ!」
言い残すと彼女は手を振り、さっそうと階段をくだって行った。

「有難う、ございます・・・」

まるでキツネにつままれたように呆けている私の手には
ズシリとした手提げ袋だけがしっかり握られていたのだった。
どうやって、改札抜けてきたんだろう・・・。




恐るべし、勝沼。

輪行袋に埋もれながら拳骨ほどもある馬肉コロッケを
ほおばる相方。彼女にとって人生初の馬である。

まだほの温かく、ジューシーなのに淡泊なコロッケは
スタミナ切れの我々の骨身にじんわり沁み渡った。
どこの馬の骨にも優しいコロッケである。

それこそ、どこの馬コロッケか聞くの忘れたなぁ・・・。

まさか旅の終わりにこんな嬉しいサプライズが用意されているとは。

考えてみると、つぐら舎さんは川口園さんと同じ敷地内で
ぶどう畑のトンネルで繋がっている。
趣のあるつぐら舎さんの建物自体が移転前の旧川口園なのだ。

ボーラおばさんをはじめとして、すべては
ぶどう蔦のトンネルのように絡み合う
ひとつながりの道だったのだ。

我々は素敵な魔女たちの手のひらのアーチで
最初から最後までコロコロ転がるコロッケだったのかもしれない。
有難く美味しい旅だった。

日暮れ前には国分寺に着き、
見知らぬおじさんに見守られながら自転車を組み立てた。

来年も川口園に泊まろう。
そのために一年頑張ろう。
いや、あまり頑張り過ぎないようにしよう。
楽しくないことはしない。
持続できて飽きのこない程度、笑いながら過ごそう。
そうしたら一年なんて、あっという間である。
釈迦堂的縄文人になろう。



川口園さんは電話での予約受付である。
日中はぶどう畑で作業をしておられ留守があるので
根気よくお電話が繋がるのを待つのがよいだろう。
むろん指定時間外の電話は避け、
HPの規約http://kawaguchien.jimdo.com/宿泊/ご利用案内/
よく読んでから、配慮と余裕をもっての問い合わせを心掛けていただきたい。

ワインのラベルのことをフランスではエチケットと呼ぶ。
このエチケットではないが、
エチケットは利用する側も心地よく守るようにしたいものだ。




(おわり)






旅のメインイベントである釈迦堂遺跡博物館を後にした我々は
坂を下り市内の醸造所を訪ねた。

勝沼は駅名にもある通り、ぶどう郷。ワインの地である。
フランスのようなシャトーではないが、
ワイン蔵には旅自転車がよく合う。
残念ながらそれこそフランスではないので、
試飲をすれば当然自転車は押して歩くしかない。
押して歩けるだけ、まだ車よりはマシだ。

市内にはいくつか試飲をさせてくれる醸造所が点在している。
収穫年でもぶどうの種類でも醸造の仕方でも味は変わるので、
組み合わせ次第では無限の味が産みだせる。
この無限の組み合わせと職人の技と感性という点は珈琲と似て
興味を惹くところだ。
その場でしか購入出来ないワインもあったりするようなので
巡ってお気に入りを探す旅も楽しいかもしれない。



 
意外と言ったら失礼だが、メルシャンの資料館は充実しており面白い。
メルシャンという社名、もとは大黒葡萄酒という名で、
ワイン樽に胡坐をかいた大黒様がロゴだった。
正直メルシャンより百倍カッコイイのだが
時代の変遷に寄り添った結果が今なのだろう。

日本ワイン発祥の地であり、
この大黒葡萄酒が一大ワイン産業を担っていたようだ。

日本酒とワインはどこか似た風味があるとかねがね思っていたが、
貴重な資料映像を見ると、まるで日本酒の杜氏のような
ハッピに股引姿の職人たちが酒造りに従事している。
とてもワインを作っているようなお洒落感はない。

大黒葡萄酒の創始者とともにワインの製造を行った男がいる。
ワイン造りを学ぶためフランスに派遣された日本ワインの父、土屋龍憲であるが
帰国後彼は最初日本酒の蔵を借り、日本酒の酵母でワインを作っていたそうだ。
上手くはいかなかったようだが、その発想はとても自然で面白い。

醸造という作業、菌と語らう基質、勝沼の風土は
フランスのそれと似たものがあるのかもしれない。

外の文化を丸々真似るのではなく、元来ある日本の文化と互換しながら融合し
まがい物ではなく、あくまで本物を目指す。
スコットランドに似た気候風土の北海道で本物を作ろうとした
ジャパニーズウヰスキーの竹鶴氏もそうであるように。

苦悩しながら本物を目指すことで、それはいつしか本物を越える。







 
資料館では新しいワインから最古のものまでその歴史をたどることができる。
古いものほどラベルデザインが素敵に見えてしまうのは私だけだろうか?






メルシャンとは、フランス語の「メルシー」からきている。

「感謝」にANをつけた造語。感謝する人という意味だそうだ。

そう考えるとメルシャンという社名もそう悪くないな、と思える。


飲んでくださる人に、
作る人に、
実る果実に、
産みださせてくださる幸せに、
己の素地たるテロワールに、

感謝して生きる人であろう。




(つづく)










前回のブログでたどり着いたのは
ここ、釈迦堂遺跡博物館http://www.eps4.comlink.ne.jp/~shakado/index.html
である。

この旅に珈琲は関係ない。
相方のライフワーク、
古代人から、生きるという純粋さとヒントを学ぶ旅である。

中央自動車道釈迦堂パーキングエリアに車で乗り付ければ目の前が博物館なので
便利なのだが、前述の通り車の運転が出来ない私たちは
勝沼ぶどう郷駅から自転車で
急な高低差とまだ若葉初々しいぶどう畑を楽しみながらの
サイクリングとなった。

暑いうえに、途中相方のブレーキ調整のため立ち止まった急坂に
グローブを置き忘れた。
私だけ坂を登り戻り
一人ぜぇぜぇウェッティーな状況に陥るハプニングがあった。
駅から直進し細い急坂を下ったのだが、
何のことはない、駅を出て左の緩い下り坂を
降りるのが巻きルート。
いきなりルート選択を誤った上の凡ミスであった。
効かぬカンチブレーキで手がプルプルになってしまった。
ヒルクライム好きでなければ左に行くメインストリートをオススメする。




 
この博物館、いままで訪れたどの遺跡博物館より洒落がきいている。
こんな細かい表示の弄り、いったいどれほどの者が気づくだろう?






彼女は何をしているかというと、無心にスタンプを圧している。
ひたすらに押して押しまくっている。
それほどに、こんなに押す人いるんですか?ってくらい
スタンプが充実しているのだ。
彼女はスタンプがあると昂り頬を赤らめご機嫌になる。
20分近くは没頭していたろう。
こういうサブコーナーの充実は来場者をいかに楽しませようかという
気配りとやる気の顕れ。
こういう活きている公共施設に巡り合うと嬉しくなる。
この博物館には一人ほど気の合いそうな学芸員さんがいそうだ。





展示物はとにかく顔。







顔、顔、カオカオ様である。


関東とりわけ山梨から長野にかけては多く顔面把手付土器が
出土している。
それも縄文後期以降にはパタリと見られなくなるようだ。
いろいろ諸説あるが、これだけの顔を前にすると
ぼんやり当時の情景が見えてくる。

たぶん最初は意味など無かったのだろう。
誰かが面白がって顔を付けてみたら、面白い。
斬新だからその隣の家の者が真似をした。
またその隣も隣の家も。訪れた旅人も大人も子供も。
ブームになって広まった。
競ったような感じはないので
てんで自由にやったのだろう。
その内、意味を持たせる者も現れたかもしれない。
人型というのは一番身近であるので、
それだけで意味を持ちやすいし
興味を惹きやすい。

人付き合いは苦手だが、私も人自体には興味があるようだ。
時々絵を描いたり人形を作るが、
無意識下で創造するものは人型になることが多い。
自分自身が人間である以上、そうなるのだろう。

古代は今より情報伝達のスピードは著しく遅いから
現在の一分が一年に値したかもしれない。
じわりと広がったブームはやがて終焉を迎える。
取り立てて学問的理由などないかもしれない。
純粋に、飽きたのだ。

人間は、
面白がって、あるいはカッコよさに惹かれ、
興味を持ち、
真似し独創し、
意味を持たせ、持続し
飽きる生き物だ。





博物館では古代人の食性を知る資料もある。
先日トチ餅を食べる機会があったが、とても渋が強く
湿り気のある古民家の階段を思わせる味と香りがした。
 


 
ドングリも一部を除けば強い灰汁があるので
長い時間根気よく煮溢し灰汁を抜かねばならない。

よくこのようなものを常食したものだと感心するが、
獣に襲われるリスクも少なく手間なく同じ場所で毎年収穫出来
貯蔵に向くこれらは、
ある程度時間さえかければ腹が膨れ栄養満点。
一定時期の忙しさを除けば遊んで暮らせるので
彼らにとっては無駄なく効率的な食物だったのだろう。




釈迦堂で特徴的な出土土器は、この水煙式文様である。
火炎式は有名で誰もが縄文土器に描くイメージだが、
水煙だけは、この地方でしか見つかっていないようだ。

火炎がうねり立ち昇る心情の爆発だとしたら、
水煙は繰り返し渦巻く荘厳な思案の膨張だ。
変態的に繰り返す線と穴。膨張しながらも保つバランス。

火炎式を見るとグワリと魂が高揚するが、
水煙は私の内にもっと深い昂揚をもたらした。

釈迦堂遺跡はパッションだ。

土器の顔は語りかける。もっと笑えと。
水煙は問いかける。しつこく繰り返せと。

それさえも勝手に私の心象が産むこと。

純粋に生きれば、後世のヤツが勝手に意味を見出すのだ。
時代を超えて伝わるものがある。

結局のところ、
ようは無心に意味もなくパッションでスタンプを押して
大満足できる人は、強い。
ということである。

人とは凄いエネルギーの塊なのだなぁと、
後ろ髪引かれる思いで釈迦堂遺跡博物館を後にした。

釈迦堂遺跡博物館へは、
お手軽な自動車旅より、
登り下りのロマンある
自転車旅がオススメである。




(つづく)








白い陽光の中、ツバメたちが放物線を描きながら鋭く交差し
駅舎の軒先へ出入りしている。
国分寺を出たときの肌寒さはなく、少し汗ばむほどの陽気だ。
それでもまだ出勤前の駅には鳥の声に交じり
一人二人タクシーの運転手が紫煙をくゆらせ
車の脇に佇んでいるだけだ。

目的地近くの駅に着いた。
乗り換えも一回だけと少なく、難なく輪行ができた。
他のお客様の邪魔になり重たい輪行は
いかに乗り換えがなく、すいた時間に移動出来るかが鍵のようだ。

誰も居ぬ間に自転車を素早く組み立ててしまう。




 
まずは袋をクルクル畳む。






出来るだけコンパクトに元の袋に押し込んで






キュッと紐を締めるだけ。
「ちび輪」袋は名前はいまいちだが、楽で軽いのがいい。
そういえば、珈琲ミルでも「みるっこDX」や
ペレット燃料調理器の「きりん君」などと、
ネーミングセンスは如何なものかと思うが、その実使える名品は多い。
ネーミングと性能は反比例するのかもしれない。
昔、河原にきりん君を持ち込み焼いたエゾシカの味が
いまだ忘れられない。きりんの鹿、美味しかったなぁ~。





窮屈にしていたボードウォークを組み立てる。
二つ折りにした背骨を伸ばして






長い首を立てて、ツノを正す。
(一昨日、輪行漫画家先生にハンドルは伸ばさず縮めて低い位置がいいと
教えていただいたので、画像のは長すぎである。
長いとお尻に全体重がかかってしまうので、
低くすることでハンドルとサドルに体重を分散することが出来、
なおかつボードウォークのフォルムも美しく見えるということだ)




あとは背中を引き上げ蹄を戻し、各部のご機嫌をとれば
跨がれる状態になる。
折り畳み自転車はじつに簡単である。



 
ルポは組み立て作業工程があり過ぎて面倒くさい。
とくに前輪を取ったときに外したブレーキワイヤーを戻し忘れると
ブレーキがきかず大惨事の可能性もあるので気を付けよう。





ハンドルの位置が決まったら、
その他のパーツが弛んで回らないようにしっかり
キャップなどを締め付けねばならない。
多少もたついたものの




 
こうして二台の自転車は無事に旅の目的地に到着し
輪行を成功させることが出来たのだった。





(つづく)



前回ブログに引き続き、輪行日記
自転車初心者二人旅。


輪行では折り畳み自転車が圧倒的に楽で邪魔にならないのだが、
いきなり2台買えるほどリッチではないので
私の自転車は、輪行のため改造せねばならなかった。

原形は「ビアンキ・ルポ 2007」

シクロクロス競技のルック車(それっぽい車)に近い街乗り用だ。
ビアンキはイタリアのメーカーだが、
日本代理店企画の台湾メイドという所在のない怪しさ。
青緑のチェレステカラーなのに
どこまでもグレーな感じの完成車なのだ。
そこがまた私らしくもあり、たまらないポイントである。

「ルポ」はイタリア語でオオカミを表すが
まったく精悍さのない重さと、
ポタポタ楽に漕げる初心者向けコンポーネント(ギアとか各部品のこと)が
セットされていて、オオカミというよりミドリガメが相応しい。

かといって悪いことばかりではない。
日本人が考えただけあって日本人向きなのだ。
しなやかな鉄の乗り味と美しさ。
どうとでも改造できるようなダボ穴の多いフレーム。
高速から低速まで無理なく漕げるギアがついているわりに安価。
ただし、純正のカンチブレーキが恐ろしく効かない・・・。
悪いところは悪い(笑)。

私のは、自転車に詳しい常連さんの手により一回すべてバラして
更なる混沌へと生まれ変わっており、
シクロクロスのルック車からランドナー(ツーリング用の自転車)の
ルック車風へと変貌を遂げていた。

それを更に輪行用へ変更するため、ヘッドパーツをいくつか追加し
大きくはハンドルの高さを変える可変ステムを導入した。
本来は、高さや長さ合わせに使う補助システムなのだが、
袋に仕舞う時の幅縮小と乗車姿勢が起きるように利用した。

使ったのは

「カロイ 可変アルミステム90mm φ25.4」

重いし自転車全体での印象はスマートさを欠くが、
思ったより作りもよく便利だ。


仕舞う時はハンドルを横向きにして角度調整を緩めれば
ハンドルが垂れ下がる。







前輪を抜いて、輪行中フロントフォークのレッグが曲がったり
袋を突いて破いたりを防ぐため
フロント用のエンド金具を装着する。





今まではSPDペダルというスキーのビンディングみたいなのがついた
ペダルを使っていたが、輪行用にクイックリリースペダルに変えた。
これならペダルをワンタッチで取り外せて車体の幅が縮まる。

wellgo QRD-C128 ゴールド

いいものは上を見ればキリがないので、安価なものに決めたが
作りは安いなりである。走る時少々カリカリした感じが否めないのと
不意に弁慶に当たるとちょっと痛いが、反射板を外せば見た目はそこそこだ。





サドルも輪行時の高さを縮めるために引き抜いてしまう。




 
フロントキャリアを留めている蝶ネジを外し折りたたむ。
脱着の多い部分は普通のボルトナットより蝶ネジタイプが
圧倒的に楽である。



 

袋を買おうと思ったら、なんと親切な知人が「これを使いなさい」と
輪行袋を下さった。
キャリアと泥除け付で後輪を抜かずに入るか不安だったが、
スッポリ収まった上、ポケットもついているので
外した前輪やサドルやらも難なく仕舞うことが出来た。
素材も厚めで安心だ。
有難うございます。
こういう時ばかりは、お客様は神様だなぁと感謝する現金な奴である。





完成。隣りのダホンに比べると随分デカい。
持込みサイズはクリア出来ているものの、クロモリな上余計なパーツを
ごちゃごちゃつけているので、重さが15キロ近くあるだろう。
ちょっとした苦行である。

 いかに折り畳み自転車が偉大であるか思い知った旅であった。





車内は一番先頭か後方車両で、
他のお客様の邪魔にならない場所を選びましょう。



(つづく)










4月某日  JR国分寺駅 AM4:30



ピーン・・・コ~ン・・・
何の音かいつも気になるのだが
よくは分からない寂しい電子音だけが
あまり干渉するもののいない改札口に響いている。

まだ朝の冷え込み厳しい青白い駅に我々はいた。

過去、年に一回あるかなしかで、我々は旅に出ていた。
珈琲を巡る旅である。
そしてそれは、ほぼ全敗であった。
雷。スズメバチ。風呂崩壊。嵐。上がるタクシーメーター。
臨時休業。迷子。
我々の旅にはいつもアクシデントがつきものであった。

いくつか理由はある。

天然な相方の旅行計画による
うっかりミス。

我々の運の無さ。

車の運転が出来ない。

など。

見知らぬ土地でタクシーメーターがガンガン上がっていく
恐怖といったらない。
言いたくても言えない「ここで降ろしてください!」
との闘いが常である。

よくよく考えると車の運転が一番大きいように思える。
私にも運転免許はある。
運転出来ない。
のではない。
運転してはならない。
のである。
練習してどうにかなるレベルではない程、ド下手なのだ。


そこで今回我々はひとつの結論にたどり着いたのである。

そうだ、輪行しよう!

である。

輪行とは、
自転車を、交通機関などを使い目的地まで持ち運び
乗車するという行為だ。
これなら、乗り物代が一番高い旅、歩き疲れて日が暮れる旅
という最悪の状況を回避できる。

常連の輪行漫画家先生にヒントとアドバイスをいただき
吟味の末、相方は半年前に折り畳み自転車

「ダホン・ボードウォークD7 2014」

を購入したのだった。
性能のわりに安価で堅牢な作りである。
クロモリ(クロムモリブデン鋼)フレームなので少々重いのが難点だが
私の自転車に比べれば、だいぶコンパクトで楽である。

さて、公共交通機関で輪行するには、輪行袋というものが必要らしい。
これは各交通機関で規定が異なるが、最近JR各社で規定が改正され
解体した車体全体を覆う専用袋でなければならず、
ゴミ袋などのビニール袋は不可。
JR東日本では持込み最大サイズも、
3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、
その重量が30キログラム以内のものと、厳密に定められている。
彼女のボードウォークはこれを軽くクリアできる。



輪行袋は検討の上、使いやすく安い

「オーストリッチ・ちび輪」

に決定した。


ということで半年がかりの、初・輪行の旅に出発である。






 
バサッと広げた輪行袋に折り畳んだ車体を置く。




 
車体のフレームに背負い紐を通し、しっかり固定する。





 
もう一つの支点にもしっかりと紐を固定する。

ちなみに輪行するまでに
何度か試し乗りをして、車体に不具合がないかを確かめた。
行った先で何かあってもお手上げになってしまうからだ。
元々ついていた純正サドルだと、坐骨の尖っている彼女は
どうしてもお尻が痛くなるらしく、色々試してどれもこれもダメだった結果

「VERO Plush VL6146」

に落ち着いた。
クッションが程よい固さで
幅広なのでポジションも変えられて
一番痛みが軽減されたらしい。

また現地で悪天候などに見舞われた場合に備え
泥除け(マッドガード)も購入した。

「クラナ シーライト20 35mm シルバー」

クラシックな車体に似合うであろうと購入したのだが、
実は細かなステーの曲げ調整や、パイプカット加工などが
必要だったりで、少々苦労した。

工作に自信の無い方にはあまりオススメ出来ないが
私も自信は無いので、
それなりにタイヤと泥除けの間に隙間が空いてしまったが
何とか見れるくらいには取り付けることが出来た。

ただ、試車するとカチカチと音鳴りがしてしまい、
後輪泥除けの前方が車体に干渉していたので、
フレーム部分に、100円ショップで売っていた粘着ジェル素材の
衝撃吸収材を貼ると見事音は消えてくれた。




 
ジッパーを閉めていくと車体に結んだ一方の紐だけがジッパーの隙間から
出る状態となるので、そこまで閉めたらほぼ完成である。




 
最後に肩に紐が食い込むと痛そうなので、
これまた100円ショップで手に入れた
旅行用品のマジックテープ付肩当てを装着する。
これで幾分持ち運びが楽になる。

ボードウォークの輪行準備は完了である。




(つづく)













「しとしとと 降る雨忘れもぐもぐと 食う食べ物の腹 しくしくかな」



いつまでも涼しいと思っている梅雨時の油断。
消費期限を越えているのに「まだ大丈夫」と食べた食べ物が
湿気の含んだ暑さで痛んでおり
しとしと降る雨のように腹もしくしくと痛んでしまった。
という現代歌。

作:ネジ頭火




梅雨時はめっきりとお店が暇なのですが、
何故か卸し先さまからの、焙煎のご注文は立て込んでおりまして
大変有難く、助かっております。

9月あたりには地方へ出張珈琲のお呼ばれなどもいただいておりまして、
今からあれこれと、無いおつむをポクポクめぐらせ思案してございます。

なんだかんだと、よしなしごとなどありまして
この先、暇な癖して怠惰にも、お休み多めと参ります。



6月23日(火)所用につきLO17:30
早仕舞いにて18:00までの営業となります。

6月24日(水)焙煎のみにて臨時休業となります。

7月1日(水)焙煎のみにて臨時休業となります。

他にも営業変更があります場合は、順次こちらのブログで
報告させていただきます。
申し訳ございませんが何卒宜しくお願いいたします。



暇はヒマとも言いますがイトマとも申します。


「見ればただ 何の苦もなき水鳥の 足に暇なき 我が思ひかな」


水戸光圀公も、こう古歌に詠んでおりますとおり
暇というものも色々な捉え方が出来るものでございます。

ヒマな癖して優雅傲慢としてイトマをいただいておるが、
その実、忙しいのだよ私は。
遊んでおるのではないのだよ決して。遊んでいるのでは!

という言い訳がましい私の気持ちを
諸国漫遊せし天下の副将軍が水鳥に映し、美しく代弁くださっております。
まぁ、水鳥というよりも私の場合は海豹(アザラシ)のほうが
見た目に合っておりますが・・・。



そういえば、ねじまき雲(陰)に置いてある、路傍の草を集積した椀盆栽。
去年枯れた蛇イチゴが、いつの間に復活したかと思ったら
気づかぬ内、瞬く間にランナーを伸ばして
窓枠の端まで来ていました。
月日とは知らず知らずのうちに経っていて、
分からぬほどに成長し繰り返しているものです。

何もせぬ暇を過ごせば
それさえも気づかず勿体ない時間をただ繰り返しているものです。

水をやりやり、成長する暇を過ごしたいものです。

















要らない箱なら世の中に沢山溢れているのだが、



気に入った箱を探すとなると、



これがなかなかに無いものなのだ。





家でプリンター用紙の所在がなく、ずっと置き場に難儀していたのだが
良い箱が手に入った。
未草(ヒツジグサ)http://hitsujigusa.com/小林さん手作りの箱で、
外貼りも泥染めで薄っすら品のいいベージュの古色をつける凝りようだ。
これがなんとA4サイズがすっぽり入る。

二つ購入して重ねて置くと、これがなかなかにおさまりが良かった。
箱は一つより二つのほうが、意図的な感じが空間に出て見栄えがするものなのだ。
三つだと尚いいのだが、お金が無いのでまたの機会の楽しみに
取っておくことにした。

そうそう、未草さんではこの間イベントで
トコロブレンドスプリングを販売下さっていたのだが、
そのイベントでスプリングは一応の終売となった。
最後の最後のスプリングを二袋、先日焙煎したので
締めとして特別にねじまき雲(陽)のトコロカフェ棚に並べた。

次は苦めのブレンド、トコロブレンドサマーである。
この週末にチクテベーカリーさんhttp://www.cicoute-bakery.com/
イベントで初売りとなる。
詳しくはトコロカフェさんhttp://tocoro-cafe.com/nikki.html
ブログをご確認のこと。

話しが飛んでしまったが、箱のことである。

箱を眺めてウットリとしていたら、
ずっと気になっていたもう一つの箱のことを思い出した。

ティッシュボックス。

さて、プリンター用紙が片付いたから次はティッシュボックスを
何とかしよう。
というわけなのだがこのティッシュボックスが、
これまたどうして巷には丁度良いものが
見つからないのだ。

ならば、

無いのなら、作ってしまえホトトギス。

である。




 


というわけで、
今回はジーンズの紙パッチ素材をリメイクして作ってみた。
あらかた作り終えてボンドで仮止めをしているところ。








ボンドが乾いたら、このフォークみたいな菱目打ちで
糸通しの穴を開けていく。
実は、うちには革工房が開けそうなくらい、この手の道具がある。

常連さんの知り合いが革工房を閉めたらしく、
それを常連さんづてに譲り受けたのだった。
私自身にもどういうわけか革作家の知人が多いので
ちょこちょこと教えて頂くうちに、見よう聞き真似で
やり方を覚えることが出来た。
持つべきものはなんとやら。
有難いことである。




 

開けた穴にムギュッムギュッと糸を通していく。
この作業がとても地道で飽きる人は飽きると思うのだが、
これが私にとっては、精神が凪いだ海のように地平の彼方へ広がるが如く
とてつもなく落ち着く作業なのだ。
焙煎しているときの心持ちと幾分似ている。
つくづく自分は作業向きの内向き人間なのだなと思い知らされる。








完成である。
わりとうまく出来た気がする。
きっと使い込むうちによれていい風合いになってくれるのではなかろうか。

しかし今回ティッシュボックスを作ってみて解かったことが一つある。
何故いかしたティッシュボックスが世の中に無いのかだ。

それは、ティッシュを入れる以外に使い道がない
オンリーワンの箱である上
手間がかかるわりにコレクター要素が乏し過ぎて需要が無い。
作り手が作りたくなくなるからなのである。

皆欲しいには違いないアイテムだが、
そうそう家に何十か所もティッシュを置いたり
とっかえひっかえ着替えさせて愛でる人はいないのだ。
ひと歩きひとクシャミくらいする最強最悪の鼻炎さんならともかく
ティッシュボックスなど
一部屋に一個か二個あれば充分。


箱にも
いっぱい欲しい箱と、そうでもない箱があるのだ。

それにしても私は「そうでもない箱」というものの存在に
得も言われぬ魅力を感じてしまうドMフェチ体質でもあるようだ。
要りもしない、世に不要なものを欲しくなってしまう。



お店のことも「箱」などと言うことがある。

ねじまき雲は、びっくり箱のような
オンリーワンの飛び道具を収めた箱かもしれない。
箱の大きさも、中身と分相応な大きさな気もする。
あまり沢山あってもしょうがないもののような気もするので
世の中に一個が二個でいいあたりも
何かに似ている気がする。

あぁ・・・ティッシュボックスか。。。


使い道はあまりないけれど、汚れた何かや吐き出した何かを
綺麗に拭き取ることが出来る中身と、それを入れる箱。

需要は無いけど、重要な役割である。




さて、次はどんな箱を手に入れようか?
















川には時折、
とびきり頭のよく大きな岩魚がいて
十数年も釣られず、
その淵の化物として語り継がれるものも
いるという。


川にも、山にも、家にも、ヌシがいる。



お店にも当然 ヌシがいる。





厨房脇にカップケーキを売っている棚がございます。
その中段のライトアップされた、あやしいコーナー。


当店とゆかりのある素描家しゅんしゅんさんのご本、


「主の糸 nushi no ito」


が再入荷しております。


ねじまき雲(陽)を素描した絵に添えられた
素敵なしゅんしゅんさんの詩。

コーヒーロースターとは?

コーヒーロースターを削り落とすと
ハッとする捻りの効いた文句になるのですが
これには、流石しゅんしゅんさん!と唸ってしまいます。


しゅんしゅんさんの粋な計らいで、
当店が珈琲を卸させていただいているお店が
繋がって掲載されているあたりも、
彼の、クスッと笑顔になれる温かい人柄が現れている気がいたします。

彼が約3年をかけ36のお店を巡り、その紡がれた糸を
一冊の本に綴じ込みました。



ねじまき雲でこちらをお買い上げの方には、
特典として当店の旧メニューからランダムに1ページを
差し上げております。
どのページが当たるかは分かりません。
この特典は先着ですので、旧メニューの在庫が底を尽き次第終了となります。

欲しい人にはレアで欲しいものかもしれませんが、
まぁ・・・もう使わないものと言えば、
要らないものなんですけどね(苦笑)。



素描集「主の糸 36の素描の旅」

¥2160(税込)

作者・装丁・発行 しゅんしゅん

上製本 / 糸かがり綴じ A5 80ページ



こちらの御本、


ねじまき雲(陽)の淵に


棲んでおりますので


どうぞお釣り上げに


いらしてください。
















こないだ、外人さんがお越しくださった時に
「砂糖」を説明するのに、

「ア~・・・スイート?ジスイズスイート的な?」

と、とんちんかんな英語を口走っておりました。
這う這うの体で厨房に引き返し、

「砂糖って何て言うんだっけ・・・?」と相方に聞くと

「シュガーじゃん」と笑われました。

「あ~っ!!だよね。そうだよね(苦笑)」

もはや日本語といっても過言ではない「シュガー」でさえも
いざ外人さんを目の前にすると、
緊張のあまり咄嗟には出てこないものです。



「にほんじかん」

と訳すのでしょうか?

英語がからっきしダメです。



"The JapanTimes"



と言う新聞に当店をご掲載くださいました。
1897年創刊、由緒正しき英字新聞だそうでございます。

英語がからっきしなものですから
何と書かれているのかは、ふんわりとして定かではございませんが
きっととても素敵に書いてくださっているのではないかと
ニュアンスで分かります。

ジェイムズさん、丁寧に取材くださり有難うございました。


サイトにも記事が上がっておりますので、
英語がお得意な方はどうぞご覧になってみてください。

タイトルは


"Zen and the delicate art of demitasse"

Zen は 禅 でしょうか?
デリケートなことはもう私、お肌に至るまでデリケートです。
デミタスコーヒーは淹れなかった気がいたしますが、
国分寺のメニューにもデミタスはございますし、
ネルでなら青梅でも飲めますので間違いありません。

とにかく一筋縄ではいかないお店であるぞ!ということは
伝わりそうですので、きっと当店の空気感を読んでくださる
外人さんがいらっしゃってくださることでしょう。

万が一、日本語の通じない方がいらっしゃって
私がオロオロしている折りに出くわしたお客様がおられましたら、
通訳をお願いするかもしれません・・・(苦笑)。
何卒宜しくお願いいたします。




ジャパンタイムズ










ものごころつく前は、私はマンガショーなるものになりたがっていたと
大人になってから母が教えてくれた。

このことは前にもブログで書いた気がする。

漫画商だろうか?漫画Showなのだろうか?
いずれにしても、タイムマシンで過去の自分に問うしか
正解を知る方法はあるまい。

私はその夢のマンガショーにはならなかったのだが、
国分寺にお店を開いてからは、土地柄
どうやら漫画家やアシスタントの方、アニメーターの方も
お越しいただいているようだ。

国分寺店ではいちいちお客様に話しかけないので
どんな方がお越しなのかはわからないのだが
たまたま会話からお仕事の内容を知れることもある。

その中の一人に「栗原まもる」さんとおっしゃる方がいる。
少女漫画家だそうで、活動歴も当店なんかよりずっと長い。

いろいろお話しを伺うと漫画家業というのは
華やかならず、非常に地道で大変なものなのだということが分かる。
アノ漫画家やアノ作品など、漫画家ならではの裏話しも伺えるので、
へ~!!ほぉ~!!と非常に興味深い。

珈琲屋もファッション業界もおおむね同じで、
一見表は華やかに見えても、本当に華やかなのはごく一部。
裏方や大多数は、細かい作業の繰り返しや
予算との折り合いをつけたり、段ボールまみれだったりと
大変地道かつ地味なものなのだ。

さて、その栗原さん。

この度、発売された画像の新刊を当店に御寄贈くださった。
このような丁寧なサイン本をいただくことはそうそうないので
嬉しい。
有難うございました。


こちらはノンフィクションである。


「お前らの可愛いところなんていくらでも」

というタイトル。

長いので略して

「おまかわ」

と言うらしい。


この題名だけ見てもなんの漫画かはわからない。
最近はこの「なんたらかんたらのなんとかをまだ知らない」
略して「〇〇△▢」というような
漫画やアニメが多くなった気がする。

かくして栗原さんの新刊は猫漫画である。

美人漫画家の日常、私生活が赤裸々に語られており
そこに家族の一員としてやってきた猫たちとの
猫ライフがつづられている。
お前らとは猫のことである。

猫好きなら、うんうん!そうそう!と頷くほっこりだったり
失笑なエピソードも満載である。
是非、書店などにてお買い求めください。

と、漫画を見ながら書いていたら我が家の愛猫に会いたくなってきたので
明日実家に帰ろう。そうしよう。

マンガショーが何なのかは分からないのだが、
漫画をやっている人やアニメをやっている人ともっと知り合えたら
いつか、なんらかのマンガショーが開けるといいなと思う。
たぶん、かつて4~5歳くらいだったであろう私の夢も、いつか叶えよう。




集英社(マーガレットコミックス)「おまかわ」


栗原まもるブログhttp://ameblo.jp/kurimamo/











気づけば、ほぼほぼ毎日納豆を食べている。

お味噌汁には豆腐が入っていないとなんだか落ち着かないし、
夏は冷奴が旨い。

金山寺味噌をアボカドに乗せて食べるとお酒もすすむし、
もろみ味噌に刻んだミョウガとマヨネーズを加えて混ぜたのを、
千切った生キャベツにつけて食べるのも、なかなかおつなもんだ。
そういう時に飴色に漬かった味噌大豆の粒を発見すると
少し嬉しいような気がする。

あんこなんかも豆だし、中納言だか大納言だかって紫式部みたいな
雅な名前がついていると、日本の美意識すら感じて
御小豆様と呼びたくなってしまう。

最近の日本人はお米よりパンを食べているらしいなどと聞く。
日々そうとは知らずに食べているかもしれないが、
この「豆」も昔に比べて消費は落ちているのだろうか?
古来から手をかえ品をかえ、私たちの食に寄り添ってきた、
というよりかは忍びこんでいるお豆さん。

しゃちほこばらず、まめまめしくいい仕事さえしていれば
表に出ずとも気づかれずとも、失われないし
そもそも覚えがないから忘れられもしない
強さがあるように思うのだ。


ねじまき雲のほうじ茶ラテ。和味のラテの上には
季節ごとに手をかえ品をかえ、旬の彩りを添えている。

先ごろまでは、乾燥林檎のサーフボートの上に
自家製レモンピールを乗せて、サーファーに見立て浮かべていた。

昨日からは、
北海道産の煎り豆と、煎り黒豆がほんのり醤油の香るのを乗せている。
スプーンで掬うと、渋めのコントラストが綺麗なブローチのようだ。
口に含めば、堅めに立てたミルクのクッションに
カリッとほろりとした豆の食感が楽しい。

ほうじ茶と和三盆の風味に、きな粉にも似た豆の香りが
郷愁を誘う気がする。



そうそう、
鳩が豆鉄砲を食らったような顔と言う。
私はそんな鳩の顔を見たことはないが、
鳩もびっくりした顔をするのだろうか?

世代が違うのか私は豆鉄砲すら実際に見たことはない。
当てられてびっくりしたのではなく、
文字通り食らって味わった鳩の顔ならばきっと、
「ホゥホゥ・・・」と美味しくて喜んでいる顔に違いない。




















よく散歩をする道沿いの神社には、池がある。

その池は風が凪いでいると、

空いっこまんまを、沈めたみたいに水鏡へ投影する。

水が綺麗だと、いろんなものを包み隠さず映してくれるのだ。

お社があるところ、祭りはつきものだ。

5月。青梅も国分寺もお祭りで山車が出る。

祭りが近くなると、にわかに街は色めきだつ。

祭囃子がチャカポコ聞こえ始め、ジュウジュウ湯気むせぶ屋台が立てば、

山車を引くほうも、それを見るほうも、額に汗しながら笑顔で街を練り歩く。



私は引くほうより見るほうが好きだ。

なんでって、やる側は美味しいものを食べる暇がない。

踊る阿呆より、食う阿呆なのだ。私は。

そんな私も過去数年、山車を引かせてもらう貴重な体験をしたことがある。

一日中、山車を引いて歩くと大人数で引いたとしても、とても疲労する。

水分補給に日本酒をやるので、頭も体もふやけて体中から

まるで良い出汁が出るみたいになるのだ。

マツリでダシをヒク。


話しはまったく飛ぶのだが

先日当店では「スープの時間」というイベントをやった。

テーマは出汁。


大きなイベントは、私にとってマツリだ。

マツリが近づけば心拍がトクトク否応なしに上がって、

待つほうも、やるほうも色めきだつのだ。


再三言わせていただくが、私は踊る阿呆ではない。

だから自分のマツリでは、旨いものを食えないと私の機嫌が悪くなる。

むしろ旨いものを食わせてくれる人としか、マツリはしないのだ。


今回も当然旨いものを作ってくれる「いずん堂」さんという

カフェとコラボレーションさせていただいた。

しかもスープは土台の出汁からして透き通るように輝いているのだから

旨くないはずはないのである。なんでも映す黄金鏡だ。


くどくど言うが、踊らない阿呆は山車は引かない。

出汁は、引かない。のである。


出汁を引く主役は「いずん堂」さんだった。

存分にねじまき雲の舞台で舞っていただいた。


山車を壮麗に飾る彫り物にも似た緻密さで、

物販「出汁レシピ」の版画をご提供くださった田中彰さん。


それらを楽しんでくださったお客様方。


熱い熱い三日間だった。


早朝バイクで青梅に向かうと

車通りもまばらな車道に、いく筋も蛇が這いずりまわったような

痕がついていることに気づく。

山車が何本も巡った軌跡が残されているのだ。

日にちが経てば消えてしまうその筋だけが、

そこに祭りが存在したことを物語っているようだ。


山車の語源は「出し物」とも言われる。

その名残りで山車を屋台と呼ぶところもあるそうだ。

出し物とはすなわち、英語でいうところのイベントだ。


イベントがはけたガランとしたお店は

なんだかもぬけの殻のようで少し寂しい。

イベント「スープの時間」を終え

後片付けをしていたら、窓辺にひとつだけ出汁レシピの版画が

搬出し忘れて残っていた。

「いずん堂」の佇まいを刷った一枚。


残り物には福がある。

「ねじまき雲」に残された「いずん堂」を

しかるべきところにお届けにあがると

朱塗りの椀で、出汁のきいたおみおつけにありつけた。

やはり私は食う阿呆なのである。


「出汁を引く」と言う。

山車を引くことに被せて、江戸の職人たちが小粋にそう言い始めたのを

料理人たちが使い続けているのだとも聞く。


出し物の残り物の、木版画。

そこから微かに遠い祭囃子と

ふわりと出汁の香りがするような気がした。




          (完)




「スープの時間」

皆々様には暑い中、お越しいただきまして

誠にありがとうございました。

このような楽しいマツリの機会をくださった

「いずん堂」さん、ありがとうございました。

また、イベントの脇固めとしてキリリと空間と物販を締めて下さり、

当日はお手伝いまでしていただきました大活躍の

作家、タナショウこと「田中 彰」さん、

本当にありがとうございました。










船出。




何かを決心したとき、誰にでも訪れる




新たなステージへのひと漕ぎ。












「スープの時間」の主役、門野シェフの作る
ポタージュスープの素として浮かぶ、
ネギのブーケガルニ。

まるで黄金出汁の海に漕ぎ出す銀箔の船のよう。
たくさんのスパイシーな夢と希望を詰め込んでいます。

門野氏もまた、処女航海に出るこのブーケガルニのよう。
なぜなら外でのイベントは、今回が初出店なのです。

もともと侍みたいな方なのですが、
初陣を飾らんとする武将のような気迫と武者震いが
もうキラキラと輝いて見えます。









普段の彼のお店には、スープの他にも
曜日によって趣向を凝らしたメニューが沢山あります。







定番品としましてはサンドイッチもありますが、
旬によって変わる具材も味わえます。
これは自家製スモークサーモンのサンドイッチ。
鮮やかなピンク色からほの立つ芳しさと、
門野シェフ特製ソースの艶やかな光りが
食欲をそそります。

どうやら、今回のイベントでも、スープだけでなく
数量はいずれも限定となりますが、
いくつかオリジナルの軽食をご用意してくれているようなのです。
内容は始まってからのお楽しみとしてあまり明かせませんが、
こちらのスモークサーモンも普段とは趣向を変えて
ご登場願えるようです。楽しみですね。









指を指し差し、出汁の説明をしてくださっている門野シェフが
幾度となく仰っていた言葉。

「なにもしない」

ただし、しきりに真剣な眼差しで、灰汁を掬っておられました。
常に鍋と付かず離れず。
気にせず気にする。
この一見相反する矛盾したような行為が、
素材と意識とピタリと寄り添えた時、
優しさの溶け込んだ黄金の出汁が出来るのでしょう。

この感覚も、前ブログで述べた私の珈琲感と似ているような気がするのです。



そしてフィナーレで出汁をドリップする。







『あぁ、やっぱりそうなんだ。。。』


私の中の何かが、この瞬間そう囁きました。

門野氏は料理をしているようで、珈琲をドリップしているのと同じ。
私はきっと珈琲をドリップしているようで、料理をしているのと同じ。


何をやるか。

ではない。

どういう姿勢と眼差しで向かい合うか。

それさえできれば、皆同じこと。

これが、いろんなくだらない垣根を越える秘訣かもしれません。



あぁ、そうそう。
そういえばお伝えするのをすっかり忘れていました。
門野シェフの

このお店の名前。



その名を、「いずん堂」http://izundou.com/

と云う。


緑多き住宅街に楚々として佇みながら


堂々としてある、


紙に護られしカフェ。




いざ雲へ。







イベント


「スープの時間」




5月24日(日)25(月)26(火)

場所:ねじまき雲(陽)

14:00~22:00 LO21:30

23日(土)は18時までの営業となります。
*LOは17時となります。



*狭いお店ですので
時間帯によりましては混雑が予想されます。

お越しのご予定の皆様も
熱中症や雨などお気を付けくださいますよう
お願いいたします。

どうぞお誘い合さないで、お一人かお二人で
お越し願えれば幸いです。

何卒宜しくお願いいたします。

*なお、人出によりましては欠品するものも
ございますのでご了承ください。








 


真夏のように暑い日が続いた。



もうすぐ多摩川の鮎が解禁だろうか。



解禁。



なんとも魅力的な響きだ。




禁じられていたものが解き放たれるのだから。









ねじまき雲の珈琲は青梅で焙煎されています。
大概が早朝。
バイクで、ときには電車でガタゴトと出かける面倒くさい生活です。
植物の種に含まれる栄養を
物理的だったり情熱だったり、あらゆる熱を加えて
次の段階に変化させに行くのです。


 


素材に向き合い手間暇をかけます。
お金があればもっと違うやり方もあるのかもしれませんが、
無いなら無いなりに、無い知恵を絞り
丁寧に作業を進めるしかありません。

その辺の店の事情やいきさつは、こちらのサイトに
http://www.nonowa.co.jp/areamagazine/blog/201505/04.html
取材を受けました記事が掲載されておりますので
当店にご興味がおありの方は覗いてみてください。

地域サイト「ののわ」に載せて頂きました。

それこそ丁寧に時間と労力をかけて取材くださった
ライター西田さん、有難うございました。
この度の当店イベント「スープの時間」に関しても
情報を載せてくださっております。





私はテキトーにいい加減に生豆をハンドピックしています。
「適切に良い加減で」ということです。
ただ丁寧にやればいいというものでもありません。
やり過ぎたり時間をかけ過ぎると、せっかくあるものを
殺してしまう場合もあるのです。

そのさじ加減が、私という人間味を含めた風味を
添加してくれるのだとも思います。


 


さて、鮎だけではなく暑くなると当店にも解禁を心待ちにされている?
メニューがいくつかあるのです。

その一つが水出し珈琲です。

私の珈琲人生の中で唯一納得のいく出来と言っては
他の珈琲に失礼なのですが、それほどこれはしっくりきたなと
思えるものが水出しなのです。
水出し専門のバーを開いてもいいかな?と思ったくらいです。

これがまた残念なことに、私の面倒くさい性格から
それを再加熱して温めるということを許さないものですから、
自然、涼しくなるとお役御免状態。
一度に4杯ほどしか作らなくても出ないので
日がたてば捨ててしまうようになってしまいました。

自分が一番旨いと思うものが、一番出ない。
それほどに他のメニューに比べるとマニアックということなのでしょうが、
これを飲みに足を運んでくださる方が
数人いらっしゃることも事実です。

ですので、
暑くなったら復活する定番メニューという
おかしな位置づけになってしまいました。


しかし今年はひと味違います。


日曜日から始まるイベント「スープの時間」

これに合わせ、定番ではなく
イレギュラーな他店に卸しているブレンド珈琲で
この水出し珈琲の復活解禁という
新しい試みです。

他にもイベントでは

この他店様の
出汁感のあるブレンド珈琲を
私がねじまき雲の淹れ方でコーノ式を用いご提供し

それとは別に植物のクセのある香り、渋み酸味という
言わば甘くコクのある出汁にのせる表層の味をイメージした
イベントオリジナルブレンドもご提供いたします。

他にもねじまきサイドでは数品のオリジナル珈琲を
お出しする予定です。



一緒にイベントをしてくださる門野シェフの出汁の極意

「なにもしない」

の極地。珈琲だとそれは、水出し珈琲。
余計なことは何もしない。
素材と、水と、時間と、地球の重力とが
いい加減に
作ってくれるのですもの。


水出しだけに、水出汁。


締めがオヤジギャグで、
どうもすみません。


イベント


「スープの時間」




5月24日(日)25(月)26(火)

場所:ねじまき雲(陽)

14:00~22:00 LO21:30



にともないまして

明日23日(土)は18時までの営業となります。












イベント


「スープの時間」




5月24日(日)25(月)26(火)

場所:ねじまき雲(陽)

14:00~22:00 LO21:30



にともないまして

20日(水)の青梅営業は休業

23日(土)は18時までの営業となります。




画像はイベントとはまったく関係ないのですが、
エスプレッソ担当くるぶしが休日に作る
勝手気ままクッキー

「くるぶし玉」

まるめるのが上手いみたいで可愛い形です。

天才的な感性でクッキーを焼くので、
失敗と上出来の差が酷い。
彼女は学生時代、部活の先生にも

「おまえには真ん中がないんだよ!」

と言われていたそうで、それは大人になった今でも同じようです。

しかしズバ抜けた感覚的才能は私のような変態的凡人の比ではないので
思いもかけない大傑作が、家庭内で生まれることも珍しくありません。

「くるぶし玉」「縄文風クッキー」「色黒ホットケーキ」

自分が食べるためだけに作っているそうで
私さえ良ければ世の中それでいいという自己完結タイプ。
世に出ぬ才能を保有する者ほど勿体ないものはないな~と
毎度思ったりしますが、
私も似たタイプなので同じ穴のなんとやら。
他人のことはとやかく言えません。

もしいつか珈琲店ができなくなったら、
この天然自由娘に養ってもらわなければならないので
その時までお待ちください。

真ん中は、
ないんですけどね(笑)。





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1977/03/05
職業:
自家焙煎珈琲店
趣味:
写真・自転車
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