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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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6月某日、  鎌倉 稲村ガ崎。



風がネ。  潮の歌を 


運んでくる ヨ。


歩くだけで  海が  頬をナデテクみたいダネ。



「ココはいい風が吹く・・・・。」そう口をついて言葉がでちゃう。 そんなトコ。


ずっと行きたいと思っていた、有名古道具屋「R」さんへ


知人に連れて行ってもらいました。



江ノ電の、踏み切りのない線路を横切る。

山の中、ひっそりとたたずむ 風とおしの良い古い大きな平屋へ。


そこが「R」さん。


入ると、すぐに私の目を釘付けにしたのは、斜陽に包まれた棚の上にいる

木で彫られた子象の置物でした。

心の琴線に触れるモノは、どんなに物に埋もれていようと、
その人だけに語りかけてくる、不思議な光を放っているものです。


「あぁ・・・・なんだこりゃ(笑)?」


思わず微笑んでしまうバランスの悪さ。


耳に不思議な穴は開いているし、

第一、鼻が短か過ぎる。

しっぽは長いのに、とぼけた顔つきに中途半端なキバ、

そして愛らしい鼻。

でも、彫りは、なかなかイイのです。

それと、値段も そこそこイイのです。

台座には、「メイド イン ブリティッシュ インディア」の文字。
戦時統制化に作られたものかしらん?

しばらくいろんな所に置いて眺めていましたが、


どうしても、この子を置いて帰ることが出来ず

連れていくことにしたのです。


「コノ象、くださいナ。」


「これ、なかなか彫りがいいでしょ?耳の穴は何かわからないけど。」とお店の方。

次の瞬間、「・・・・ん?コレ!鼻なかったですか!!」と、急にあわてふためく彼。


「エッ!!?なかったですけど・・・・。」と、あわてふためく私。心の中で(なかったってどういうこと??)
と変な問答にパニクる。

「じつはコレ、鼻があったんですよ~。折れたんダぁ・・・・。」と、なぜか事務所らしきところの
床を這いながらキョロキョロする。

「ごめんなさい。無くなったみたいで。」と申し訳なさそうな彼。



光の加減でよくはわからなかったけど、たしかによく見ると削れたような痕があるのです。


そう!!てっきりユニークな子象と決め込んでいましたが

コレは、「子象」ではなく、まぎれもなく、「象」 だったのです!!




「いえいえ、私も気づかなかったですから。」これじゃぁ売ってもらえないかな?と残念そうにしていると


「○×△円でどうでしょうか?・・・・」と彼。

「エッ!?いいんですか?」

「鼻、折れてるし・・・・。」

「いえいえ、ソコが気にって見てたから(喜)。」



果たして、この象の鼻が、クレオパトラよろしくあと数センチ長かったら、

私の心は捉えられていたでしょうか?



喜び歩く海沿い、胸の内スキップを踏みながら、

良い風の吹く「R」さんをあとにしたのでした。



鎌倉の思い出は今、ねじまき雲の棚にあります。


ホントだったら、作為的な後付けは、美しくないんでしょうけど、
鼻の穴がないと苦しいと思ったので、鼻の穴を掘りました。

なので、鼻っぱしらの折れた象は

いまは、立派な子象になりました。





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