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COFFEE & GALLERY SALON " you " COFFEE ROASTER " in " 自家焙煎珈琲店 国分寺(陽)&青梅(陰) Since 2006
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旅のメインイベントである釈迦堂遺跡博物館を後にした我々は
坂を下り市内の醸造所を訪ねた。

勝沼は駅名にもある通り、ぶどう郷。ワインの地である。
フランスのようなシャトーではないが、
ワイン蔵には旅自転車がよく合う。
残念ながらそれこそフランスではないので、
試飲をすれば当然自転車は押して歩くしかない。
押して歩けるだけ、まだ車よりはマシだ。

市内にはいくつか試飲をさせてくれる醸造所が点在している。
収穫年でもぶどうの種類でも醸造の仕方でも味は変わるので、
組み合わせ次第では無限の味が産みだせる。
この無限の組み合わせと職人の技と感性という点は珈琲と似て
興味を惹くところだ。
その場でしか購入出来ないワインもあったりするようなので
巡ってお気に入りを探す旅も楽しいかもしれない。



 
意外と言ったら失礼だが、メルシャンの資料館は充実しており面白い。
メルシャンという社名、もとは大黒葡萄酒という名で、
ワイン樽に胡坐をかいた大黒様がロゴだった。
正直メルシャンより百倍カッコイイのだが
時代の変遷に寄り添った結果が今なのだろう。

日本ワイン発祥の地であり、
この大黒葡萄酒が一大ワイン産業を担っていたようだ。

日本酒とワインはどこか似た風味があるとかねがね思っていたが、
貴重な資料映像を見ると、まるで日本酒の杜氏のような
ハッピに股引姿の職人たちが酒造りに従事している。
とてもワインを作っているようなお洒落感はない。

大黒葡萄酒の創始者とともにワインの製造を行った男がいる。
ワイン造りを学ぶためフランスに派遣された日本ワインの父、土屋龍憲であるが
帰国後彼は最初日本酒の蔵を借り、日本酒の酵母でワインを作っていたそうだ。
上手くはいかなかったようだが、その発想はとても自然で面白い。

醸造という作業、菌と語らう基質、勝沼の風土は
フランスのそれと似たものがあるのかもしれない。

外の文化を丸々真似るのではなく、元来ある日本の文化と互換しながら融合し
まがい物ではなく、あくまで本物を目指す。
スコットランドに似た気候風土の北海道で本物を作ろうとした
ジャパニーズウヰスキーの竹鶴氏もそうであるように。

苦悩しながら本物を目指すことで、それはいつしか本物を越える。







 
資料館では新しいワインから最古のものまでその歴史をたどることができる。
古いものほどラベルデザインが素敵に見えてしまうのは私だけだろうか?






メルシャンとは、フランス語の「メルシー」からきている。

「感謝」にANをつけた造語。感謝する人という意味だそうだ。

そう考えるとメルシャンという社名もそう悪くないな、と思える。


飲んでくださる人に、
作る人に、
実る果実に、
産みださせてくださる幸せに、
己の素地たるテロワールに、

感謝して生きる人であろう。




(つづく)










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